「米国売り」が静かに広がっています。世界の機関投資家の約4割が米国資産の比率を引き下げた、あるいは縮小を検討中です。背景にあるのは、トランプ大統領の政策による米国債の乱高下とドル安への警戒感です。
さらに各国政府も脱ドルを進め、米国債の保有を減らしています。もし民間資金まで本格的に離れれば、米国市場への影響は避けられません。今回は、現在のマーケットの資金の流れと、私たちに求められる「分散投資」の必要性について解説します。
世界で進む「脱ドル」と米国債の売り越し~機関投資家の40%が米国資産の削減を計画
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現在、世界中の機関投資家が米国資産への投資を大きく見直し始めています。米モーニングスターの昨年9月の調査によると、世界の機関投資家の40%が米国資産への投資配分を減らした、または削減を計画していると回答しました。
その最大の懸念材料となっているのが、米国の関税政策や貿易摩擦、そしてトランプ政権の政策の不確実性です。北欧の年金基金なども、米国の政策の予測可能性の低下や巨額の財政赤字などを理由に、米国債の売却を進めています。
国家レベルでも加速する「脱ドル」の動き
さらに、国家レベルでも「脱ドル」の動きが加速しています。中国政府は2月初旬、国内の銀行に対して、価格変動の大きさ(ボラティリティ)と集中リスクを理由に米国債の保有残高を削減するよう指示しました。実際に、中国やインドといった大国の米国債売りが目立っています。また、外国政府はロシアのウクライナ侵略に伴う米国からのドル資産凍結などの広範な金融制裁を目の当たりにし、ロシアの二の舞を避けようと意図的にドル資産の保有を減らしています。
売却されたドル資金の多くは、金(ゴールド)やスイスフラン、新興国市場などへと振り向けられています。米国のエコノミストは、米国債発行残高の約30%を保有する外国人投資家による購入が落ち込めば、債券市場の混乱とドルの危機を招く恐れがあると深い懸念を示しています。民間マネーの米国離れがさらに加速すれば、世界の「米国離れ」の現実味がいっそう増すことになります。