日本の立ち位置と個人投資家の動向
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世界各国が米国債の保有を減らす中、欧州や日本による米国債の買い越し基調は続いています。しかし、日本の個人投資家の間では、国とは対照的に「脱・米国一極集中」の動きが鮮明になっています。
今年1月の投資信託の資金流入額を見ると、これまで圧倒的な人気を集めていたS&P500などに連動する米国株投信への流入額が前年同月比で約4割も減少しました。代わりに大きく伸びているのが、全世界株に投資する通称「オルカン」です。オルカンへの資金流入額は前年同月比で約6割増加し、残高は10兆円の大台を突破しました。
また、有事の際の安全資産や代替資産とされる金(ゴールド)に投資する投信への資金流入額も6倍に急増しています。トランプ政権下の米国市場の先行き不安や円安・物価高への警戒感から、リスクを抑えるために米国株への一極集中から全世界株や金へと分散投資を進める個人投資家が増加しているのです。
長期的な資産形成に不可欠な「分散投資」
グローバル株式が安定したリターンをもたらす理由
米国株式市場はこれまで、巨大テクノロジー企業などがけん引役となり、長期にわたり高いリターンを上げてきました。しかし、長期的な資産形成の観点では、特定の国や地域に絞った集中投資はリターンの振れ幅(リスク)が大きく、安定して高いリターンを継続的に得られる国を見極めるのは非常に困難です。
さまざまな国や地域に分散された「グローバル株式(全世界株)」のリターンは安定しており、相対的にリスクも小さいとされています。グローバル株式の約7割は米国株が占めますが、残り3割を他の国・地域の株式に分散投資しておくことで、米国景気に暗雲が垂れ込めるような局面でもリスクを抑え、安定したリターンを得られる可能性が高まります。さらに、日本株などの自国資産を少し多めに組み入れることで、投資効率が改善する効果も期待できます。
GPIFの実績が証明する分散投資の有効性
分散投資の有効性は、私たちの公的年金の積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」の実績からも明らかです。GPIFは、国内株式、外国株式、国内債券、外国債券の4つの資産に約25%ずつ配分する長期分散投資を基本としています。リーマン・ショックなどの経済危機を含めても、2001年度以降の年率収益率は4.71%と、安定した成果を上げています。
出典:GPIF