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祇園の記憶を継承し次なる寛ぎの舞台へ 「帝国ホテル 京都」が開業

祇園の記憶を継承し次なる寛ぎの舞台へ 「帝国ホテル 京都」が開業

祇園の路地を歩くような、歴史を活かした建築

帝国ホテル 京都
photo:Masatomo Moriyama

「帝国ホテル 京都」の舞台となったのは、国の登録有形文化財であり、京都市の歴史的風致形成建造物にも指定されている「弥栄会館」。芸妓(げいこ)組合やお茶屋組合の人々の寄付によって建てられ、祇園のランドマークとして長く親しまれてきた場所だ。

その記憶を受け継ぎながら、帝国ホテルならではの安心感と、祇園の非日常感を融合させた新しい舞台が2026年3月5日に誕生した。

外観の象徴となるのは、弥栄会館の建築様式を残した意匠。約1万6000枚ものタイルを一枚ずつていねいにはがして修復し、再び元の位置へ戻した壁面は圧巻だ。

弥栄会館
弥栄会館(提供:八坂女紅場学園)

館内は、弥栄会館の柱や窓枠を保存した「本棟保存」、京都の風情を感じる「本棟」、そして新たに増築された「北棟」という三つの建築構造で構成されている。

ホテル内部は、整然としたホテルのイメージを心地よく裏切る空間といえるだろう。あえて設けられた曲がり角や、街頭のように光が灯る廊下。まるで祇園の路地をそぞろ歩いているかのような気持ちにさせてくれる。

もともとの建物の構造を活かしたこの設計は、「宿泊施設」を超え、建物そのものが物語を語るような温もりを生み出していた。

空間に溶け込む「美」

館内のデザインコンセプトは「帝国、舞う」。

内装を手がけたのは、現代美術作家・杉本博司氏と新素材研究所を率いる建築家・榊田倫之氏だ。素材の選定から細部の仕上げまで、彼らの美学が貫かれている。

象徴的なのが、1923年の帝国ホテル二代目本館「ライト館」に使われていた大谷石へのこだわりだ。ライト館と同時代に採れた大谷石の古材を選定したという。こうした歴史の断片が、アート作品としてではなく、建物の一部として空間に溶け込んでいる。

エントランス
photo:Masatomo Moriyama

また、館内には杉本氏自身の作品が配されているだけでなく、かつての弥栄会館から継承された記憶も息づいている。解体時に損傷を与えないよう慎重に「生け捕り(保存)」された独自のモチーフが客室内など随所に再配置され、新旧の美が響き合う。

さらに、南面と西面のファサードを残したことで階高に制限があったが、水平方向の広がりを意識した設計により、重心が低く、包み込まれるような落ち着きのある空間が実現した。

モダンでありながら自然や歴史と融合したデザインは、訪れる者に深い安らぎを与えてくれる。

宿泊者ラウンジ
配信元: marie claire

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