
マンションの建築工事を行う場合、専門知識を持った「アドバイザー」を雇い、適正に工事や業務が進行管理されているか判断してもらい、悪徳業者を抑制することができます。では、そのアドバイザーはどのように選べばいいのか、建山氏の著書『[新装版]マンションの大規模修繕でダマされない方法』(彩図社)より、アドバイザーとコンサルタントの違いや、仕事のできるアドバイザーを選ぶポイントを紹介します。
アドバイザーは用心棒である
建築工事を行う場合、「コンストラクションマネジメント(CM)方式」と呼ばれるアメリカで生まれた監理方法がある。簡単に言うと、施主側に立った第三者が施工会社や建築設計事務所を監督・指示する業務であり、その行為者をCMR(コンストラクション・マネジャー)と呼ぶ。
大げさな感じがするかもしれないが、マンションの管理組合が雇うべきアドバイザーが、まさにCMRだ。専門家もセカンドオピニオンの必要性を説いており、アドバイザーがその役割を担うのである。
マンションの大規模修繕工事の場合、本来であればコンサルタントが第三者となりその役割を果たさなければならないのだが、残念ながらペテン師のダークサイドに堕ちてしまっている恐れがあるので、用心棒としてアドバイザーを傍に置いておきたい。
アドバイザーに選ぶべきは、当然コンサルタントや施工会社とは関係のない、専門知識を持った人物(会社)である。
アドバイザーとコンサルタントの違いは、アドバイザーは工事における調査・設計・積算・現場監理を行わないが、それらの業務が適正に行われているかを監理し指導するという点だ。
アドバイザーがいればコンサルタントの仕事は工事発注までとし、工事が始まれば施工会社に工事監理を任せてコンサルタントを外すこともできる。施工会社が行う施工管理と工事監理の状況を、アドバイザーにチェックしてもらえばいい。
アドバイザーを正しく選ぶことができれば非常に心強い味方になってくれる。重要な点なので、その選び方を詳しく書いていきたい。
アドバイザーの選び方
アドバイザーを見つけるにはどうすればいいか。知り合いで建築の道に明るい良心的な人がいればいいが、見つからなければ個別に何社かの設計事務所に依頼し、公募するのが良いだろう。また、自治体によってはアドバイザーの派遣に協力的なところもある。
大切なことは、アドバイザーに仕事の内容を明確にして「仕事」をさせることだ。「なんとなくプロとしての目で彼らの仕事を見てください」といった頼み方ではよくない。
アドバイザーの仕事内容
1.工事計画の助言……工事金額を考えた必要な工事の助言
2.工事内容の審査……管理組合が求めた内容かどうか、建物にとって必要な工事の有無
3.工事金額の審査……金額が適正な価格であるかどうか
4.工事手順の審査……各工事の施工手順が守られているか
5.工事書類の審査……工事書類の内容が正しいかどうか、適切に提出されているかどうか
6.追加工事の審査……追加工事の内容や金額が正しいか
7.竣工検査立ち会い……設計通りの材料を使い工事を完成させているか
ただ、「彼らもまた詐欺師の仲間だったらどうしよう」という不安はあると思う。
心配であれば、アドバイザーと工事関係者を接触させなければいいだろう。
見積書や工事資料については紙に印刷したものを見せて意見をもらえばいいし、工事中の会議や現場の視察・検査には住民代表の一人のように参加してもらえばいい。
アドバイザーの存在はコンサルタントや施工会社に言っておくことはあっても、紹介も名刺交換の必要もない。アドバイザーの意見を管理組合がしっかり理解して、管理組合の意見として言えばいいのである。
私が理事になったとき、工事の不備を指摘された施工会社は、私がいない場所で「自分たちは設計事務所の指示通り工事しただけなのに……」と言っていたらしい。
しかし、そんな言い訳は建設業法の上で通じるはずがない。かといって設計事務所に文句を言った様子もなく、新しい理事にとんでもないのが入ってきたと思ったようだ。アドバイザーは、あくまでマンションの一住民で詳しい人物がいると思わせれば、十分に効果を示すのではないか。
アドバイザーへの依頼費用
金額については、国交省が定めた設計費に準じて問題ないだろう。「人件費×2+技術経費+一般経費」となっているが具体的に金額は示されていないので、「1日5万円+技術経費(道具など)+一般経費(会社経費・交通費など)(監理内容による)」を基準として交渉してみていただきたい。
建山 晃
1級建築士
