大学を卒業してすぐ、縁もゆかりもない大熊町へと移住した田﨑七海さん。地元の茨城からも、大学があった北海道からも離れたこの町を選んだ理由は、こよなく愛する「羊」のためでした。現在はおおくま未来合同会社の新入社員として、羊の飼育やふれあいを担当しています。
復興途上の地に自ら飛び込み、毎日羊たちと向き合い続ける田﨑さん。大熊で見つけた働きがいと、描き始めた未来に迫ります。

憧れの羊の仕事につくため大熊へ
もともと動物に興味があり、北海道の大学に通って愛玩動物看護師の資格を取得しました。愛玩動物看護師は、犬や猫、インコやカナリアなど、ペットの診療補助や看護を行う職種で、最近国家資格にもなりました。
そんな私が羊と関わる仕事につこうと思ったのは、大学のサークルでの経験が大きいです。サークルでは、羊を飼育する活動をしていました。それまで羊には、動物園で触れたことがある程度でしたが、関わっていくうちに、羊が人になつくことや、犬猫のような可愛さがあることを知りました。普段、穏やかな子が多いところも好きで、羊の牧場で働きたいと思うようになりました 。

そうした思いを胸に、私は就職活動を始めました。とにかく羊に関わる仕事をしたくて、北海道でも沖縄でも条件の合う牧場があれば行くつもりで就活をしていました。その時に見つけたのが、大熊町の羊牧場・ウルスシープ(OURSHEEP)ではたらく「復興支援員」の仕事でした。応募してみたものの、私は当時まだ在学中で、「10月から就労開始」という条件を満たせず、復興支援員になることはできませんでした。
一度は「別の牧場に行くべきかな」と悩みましたが、復興支援員の受け入れ先だったおおくま未来合同会社の松本龍之社長が、私の経験を評価してくださり、復興支援員ではなく社員として採用するという形で受け入れてくれました。受け入れていただいた松本社長には本当に感謝をしています。
松本社長へのインタビュー https://okuma-style.com/wmHYmKOu/LUE7_cs5
正直に言うと、移住する前に大熊のことはほとんど知りませんでした。茨城の実家からは車で3時間半ほど離れています。それでも、私の実家もかなり田舎なので、都会よりも田舎が落ち着きますし、大熊への移住に対する抵抗はほとんどありませんでした。
働きやすい環境と日々の仕事
現在は、飼育スタッフとして羊のお世話をするほか、ふれあいイベントやSNSの発信も担当しています。私は主に、ふれあいイベントに参加する約15頭の羊を担当しています。一日の仕事は、ミーティングをすることから始まり、そのあとは、えさ箱の掃除をして羊たちに朝ごはんをあげます。その後は羊の毛玉を取ったり、爪を切ったり。人に慣れてもらう必要があるため、部屋の中に入って羊たちと同じ空間で過ごす時間を意識的に作っています。4月に入社した頃と比べると、どの羊もずいぶん慣れてくれて、成長を感じられるようになりました。
日々働く中で感じるのは、ここは他の牧場よりもかなり働きやすい環境だということです。飼育頭数が現在約70頭と多すぎないこともあり、仕事量が過度に重くなりません。就活中には他の牧場のインターンシップにも参加しましたが、長時間労働になるところもありましたし、今の仕事の方が負担は少ないです。
私は一番年下ですが、皆さん気さくに声をかけてくれます。ただ、常勤スタッフは男性のみで、女性スタッフは今のところ私だけなので、女性がもっと増えてくれたら嬉しいなとは感じています。


