WBC3連覇を阻んだ、痛恨の“ダブルスチール失敗”。当時の走者・井端監督は「中途半端だった」と回想

WBC3連覇を阻んだ、痛恨の“ダブルスチール失敗”。当時の走者・井端監督は「中途半端だった」と回想

◆「行けたら行け」ではなく…

井端はこのときの状況について、「スタートを切ったが、タイミングが遅れたからストップしたのではなく、最初から行くそぶりを見せただけのフェイクだった」と語っている。

腹をくくっていたなら、もっと早いスタートを切っていた。「オレの足じゃ無理」という迷いが、偽装スタートにつながったというわけだ。

このダブルスチールの失敗は、日本国内でさまざまな議論を呼んだ。「行けたら行け」のグリーンライトのサインだけでなく、「何が何でも行け」のディスボールのサインが必要だったんじゃないのか――。そんな意見もあった。

実際、当時の侍ジャパンは、チームの作戦コンセプトを作る段階で、緒方から、「ダブルスチールのサインを作ってはどうか」という提案があったという。ただ、「ダブルスチールのサインは作らなくてもいい。後ろのランナーが前のランナーを見て連動すればいいのだから」ということで採用されなかった。

だが、グリーンライトであれ、ディスボールであれ、ダブルスチールのサインを実行させるのは難しい。

◆意思疎通を徹底すべきだった

このときの井端と内川のように、一、二塁の場面で苦労させられるのは、一塁ランナーのほうである。二塁ランナーが何度も偽装スタートをすれば、後ろのランナーはその動きにつられてだまされてしまうし、こうした場面になると、キャッチャーはスタートの遅れる一塁ランナーを刺しに来る。結果として、アウトになるリスクが高まるというわけだ。

ことさら失敗できないシチュエーションともなれば、二塁ランナーがスタートで遅れることは許されない。仮に少しでも遅れてしまえば、キャッチャーがサードに送球してアウトになってしまうリスクも高まる。そうなると今度は、「なぜあの場面でダブルスチールのサインを出したのか」という批判は否めない。

そうなると、首脳陣と選手との間で、約束ごとを徹底させていたのか問われる。

「無理して行くなよ。ひょっとしたら井端が二塁で止まるかもしれないから、注意しておけよ」という声を内川にかけてあげられなかったことが、高代は悔やんでいた。

選手とコーチは、「嫁と姑の関係のようでなければならない」と高代は話す。「うるさいな。そう何度も言われなくともわかってますよ」というくらい、何度も確認しておかなければならない。

侍ジャパンに選ばれる選手は、超一流の技術を持った選手ばかりである。たとえ言われなくてもわかっているようなことでも、作戦面において何度も確認することによって、ミスを減らすことにつながる。

このときでいえば、「ダブルスチールについての約束ごとを井端と内川にキッチリ伝えておくべきだったし、仕事を怠ったコーチの責任であり、井端と内川には何の責任もない」と、高代は振り返っている。


配信元: 日刊SPA!

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