◆高市首相に残された二つの選択肢
ここで高市首相には二つの選択肢がある。一つのやり方は開き直る。財務省には、暫定予算を準備させておく。徹底的に強行採決をする。その代わり、悪名はすべてかぶる。文句があるなら、次の選挙で落としてみろと。どうせ、予算が年度内に成立しなくても、困るのもまた暫定予算を組まされる財務省だけ。予算は衆議院で決まるので、暫定予算を組む期間は一週間も無い。選挙に勝った総理のやることに文句をつけるのか、と開き直る。
事実、これに近い強引な国会運営を行っている。首相は自分で衆議院を解散して審議時間を奪っておきながら、「年度内に予算を成立させろ。審議時間を短縮させろ。さもなければ国民が困るのだから。ただし自分は国会答弁をしたくない」と野党に迫る。
これでは首相が予算を人質に取って、国会で日程闘争をしているようなものだ。
◆たった一つの免罪理由
こんなやり方で、もし予算が年度内成立しなければ、ただ一点を除いて高市首相ただ一人の責任だ。ではその一点とは?選挙に勝利したことである。
そもそも、選挙とは内戦の代替品である。たとえば、関ケ原で負けた石田三成に如何に正義があろうと、何の意味もない。合戦の勝利が権力の帰趨(きすう)を決めるように、選挙の勝利は勝った者に正当性を与える。民主政治の決着は選挙による。高市首相の唯一の正当性は、選挙に勝利したことに尽きるし、この一点で、あらゆる瑕疵(かし)を凌駕する。

