◆あおり運転の相手が一瞬で縮こまった理由
「20代前半くらいの男性5人が詰め寄ってきました。窓を5センチほど開けて話を聞くと、『曲がり角で割り込まれた』と言うんです。冷静に振り返っても、それは完全に彼らの言いがかりでした」彼らのしつこい訴えに対して、田中さんは渋々車を降りることに……。
すると、彼らは一斉に後ずさり。4人は自分たちの車に戻ったそうだ。リーダーと思われる1人が残ったため、田中さんは一歩前に出て、「こんなことで人生を棒に振ったらもったいないですよ。世の中には、高圧的になられて怯える人もいれば、前に出てくる人もいることを忘れないでください!」と言ったという。
「彼は、その言葉に驚き、今にも泣きそうな顔をしていました。『二度とこんなことはしません。本当にすみませんでした』と謝り、アクセル全開で去って行きました」
その後、田中さんは笑顔で車に戻り、何事もなかったように旅を楽しんだ。
「実は、当時の私は“プロ格闘技の選手”でした。大胸筋とか腕周りが発達していて、常人では到底ありえない肉体だったでしょうね」
◆■ 数字が語る「暴走の代償」と取り締まりの現実
あおり運転の加害者が仕掛ける執拗なハイビーム攻撃。これは単なるマナーの問題ではなく、道路交通法第52条に抵触する明確な違反行為です。この「前照灯の切り替え義務」を怠った場合の反則金は、普通車で6,000円。しかし、これが「妨害運転罪(あおり運転)」とみなされれば、もはや反則金では済みません。最大で3年以下の懲役または50万円以下の罰金という重い刑事罰が科され、即座に免許取り消しとなる可能性も十分にあります。
いつ誰がそんな理不尽な暴挙に遭遇してもおかしくないのが、今の公道という場所です。
執拗な威嚇を前に、決して感情で応戦してはいけません。今回の2つの事例が示す通り、最も重要なのは「法というルール」を正しく理解すること、そして何があっても冷静さを失わないことです。
毅然とした対応で距離を取り、法的な手続きで逃げ道を塞ぐ——。理不尽な悪意から自分の日常と人生を守り抜くために、賢く立ち回る知恵こそが、私たちドライバーにとっての唯一の防衛策なのです。
<取材・文/chimi86 再構成/日刊SPA!編集部>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

