カンサイ建装工業株式会社の代表取締役を務める草刈健太郎さんだ。
7歳下の妹・福子さんを失ったのは2005年12月1日のこと。アメリカで映画の脚本家を目指していた福子さんを、アメリカ人の夫が殺害したのだ。

◆薬を服用を理由に、加害者は無罪を主張
「妹が亡くなったと連絡を受け、すぐにアメリカに向かい、凄惨な事件現場も目にしました。犯人への憎しみが込み上げる一方、加害者は躁鬱病の薬を服用していたことを理由に無罪を主張。私たち家族の怒りを倍増させました。事件がアメリカで起こったということもあり、裁判に至るまでの流れも、量刑の決まり方も日本とは違います。審議にわざわざ行ってるのに、『加害者側の体調が悪いから閉廷です』と言われ、審議が進まない時間も長くて。結局、それは無罪を勝ち取るための相手の作戦だったんです」審理の状況を外野が見て、有罪か無罪かを判断するアメリカの陪審員制度。アジア人が殺された場合では、アメリカ人側に有利な判決になることが大半らしい。
◆かかった費用は7000万円…それでもあきらめなかった
当時の草刈さんは、会社の代表になってまだ2年目で、15億円の借金を抱えていた。アメリカまで頻繁に行き来するのは金銭的にも、精神的にもかなりの負担だった。「通訳をつけるだけでも2時間で10万円はかかりますし、合計でかかった費用は7000万円ぐらい。背中を押したのは、普段寡黙な姉の『正義はカネで買われへん』という一言。そして、『戦ってください。会社のことは心配しないでください』と激励してくれた会社の従業員たちがいなければ、どこかで心が折れていたかもしれません。
あとは、アメリカの日本領事からも『戦ってください』と後押しされましたし、私がアメリカに行けない時に、ボランティアで審議に行ってくれたのは、元ロス市警の日本人の方でした」
まさに日本人の名誉を守るための戦いだったとも言えるだろう。草刈さんにとって、加害者が無罪になってしまうことは、「福子さんが二度殺される」ようなものだった。
「有罪判決を勝ち取り、裁判官から『アメリカ国民を代表してお詫び申し上げます』と言われた時は、自分の中で区切りはつきました。ですが、結局犯人からは一度も謝罪はないままでした。さらに裁判が終わった後に、加害者の母が私の母に近づいてきて、一言こう告げたんです『bitch!』と……」

