◆職業体験を通じて、Win-Winの結びつきを形成
更生支援をするうえで草刈さんが感じたことがある。それは、刑務所内で過ごす時間が、出所後の社会を生きるために必要なものになりにくいという現実だった。「ネジを作らしたり、溶接工をさせたり、神輿をつくらせたりしていますが、社会に直結できる能力をつけさせるべきと思いました。私の会社は建築業で26業種の職業体験ができます。そこで、受刑者たちに各業種の職人さんと触れ合ってもらい、まるで現場で働いているかのような場を設けたんです。これなら雇用側も『この子なら大丈夫』と感じ取れますし、受刑者側にも『これやったら、俺もできる』と、思わせることができます。
社会で活かす能力を得ていないのに、出所後にいきなりハローワークに行くのはハードルが高すぎます。刑務所にいる時から適性を見極めて、働く場所を見つけてあげればいいだけの話ではないでしょうか。それにより、労働力不足も解消されますしね」
◆生きていくための力を社会が与えないといけない
夢を持っている受刑者も多いが、“叶え方”がわからないケースも珍しくない。「犯罪を犯す子たちは、生理的欲求が満たされないような環境に身を置いていることが大半です。だから自暴自棄になってしまう。安心して生きていくための力は本来、親や家族、友達などから与えられるもの。ですが、与える人がいないなら、社会が与えないといけない。受刑者は、足し算すら満足にできないケースも少なくはありません。ゆえに、知識と知恵という刀と盾を持たせることが大事。自分の世界を変えることができたら人に優しくなれるし、悪い人とも関わりを持たなくなりますから」

