◆「一回だけ大人を信用してくれへんか」と伝える
草刈さんの想いが結実した更生支援が、公文式と二人三脚で取り組んできた教育プログラムだ。「4~5年前に少年院で授業をやってほしいと依頼がありまして。その場で私が受刑者に伝えているのは、『一回だけ大人を信用してくれへんか』ということ。自分も決して出来のいい子どもではなかったけど、今は社長をやっているわけです。実際に社会で成功できた背中を見せながら、国語はコミュニケーション能力、数学は考えを整理する力が磨かれると教えます。いわば、希望を見出すためのカリキュラムですね」
この教育プログラムは国家プロジェクトに採用され、今後全国各地の刑務所で実施されていくそうだ。
「何かをやれと命令しても意味はなくて、『心の基礎を作るには心でしかない』と思っています。くわえて、自分が幸せだと感じて生きられるようにすること。そしてトラブルが起こった時、それを乗り越える力や技を教えればいいだけなんです。加害者を社会的被害者として捉えて、守って育てる企業が増えれば、社会全体の利益に繋がります。人を育てるのは、もちろん企業にとっても自己成長の機会になるでしょう。辛いこともたくさんありましたが、更生支援をしている今は充実しています」
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生まれた時に加害者である人間はいない。関わる人や触れてきたもので、その人は構成されている。失う痛みを知った草刈さんだからこそ、できる更生支援の形があるのだろう。一人でも多くの人生が好転することを祈ってやまない。
<取材・文/SALLiA>
【SALLiA】
歌手・音楽家・仏像オタクニスト・ライター。「イデア」でUSEN1位を獲得。初著『生きるのが苦しいなら』(キラジェンヌ株式)は紀伊國屋総合ランキング3位を獲得。日刊ゲンダイ、日刊SPA!などで執筆も行い、自身もタレントとして幅広く活動している

