◆エアコンの導入が延期される事態に
心配なのは給食の質ばかりではない。「ほかにも大きな問題があります」と山中さんは言って、次のように説明した。「給食費を無償化にするための新たな財源があるわけではありません。無償化にするための予算は、教育予算をやりくりして捻出しています。その調整に頭を悩ませている行政職員には、給食費無償化は嫌われているようです」
給食費無償化での支出が増えたことで、予定されていた体育館へのエアコンの導入が延期されるといったことが起きているという。無償化によって質が落ちてしまうのは給食の内容だけでなく、教育そのものにも影響がでているのだ。
これは、問題でしかない。そういう影響について、保護者は問題にしないのだろうか。その疑問にも、山中さんは答えた。
「どういう影響がでているのか保護者は気にしていないとおもうし、知らないとおもいます。それより、無償化になったことを喜んでいるようです」
◆不登校の生徒には給食が用意されていなかった
しかし、給食無償化については暗い話ばかりではない。それについても、山中さんが話してくれた。「無償化でないときは、不登校の生徒の給食はストップされていました。用意しても食べないで残飯になるだけだし、食べないのに経済的負担をするのでは保護者も不満です。そのため保護者と話し合って、ストップというかたちにしていました」
保護者にとっても給食を用意する側にとってもムダのない策といえる。
「ただ、不登校の子がふらりと学校にやってくることがあります。そういうときに、『給食だけでも食べていけばいいよ』と声をかけられれば、それが話をするきっかけになることがあります」
そこには問題がある。その生徒の分の給食はストップされているので、物理的に足りなくなってしまうのだ。教員の分を譲ったり、ほかの生徒から少しずつ分けてもらって間に合わせたりもしていたという。
しかし、そう何度もできることではない。だいいち、友だちから分けてもらったりしたら、本人が気兼ねしてしまい、なおさら学校に足が向かなくなってしまう。
「教員としても、気軽に『給食だけでも食べていけばいいよ』と声をかけづらい状況でした」と、山中さん。そればかりではない。
不登校の生徒には、教室にははいれなくても、保健室や相談室なら登校できる場合がある。といっても毎日、登校できるわけではないので、給食はストップになっている場合が多い。

