◆登校できるようになった生徒が複数名現れた
せっかく登校してきても、給食がないので昼前には下校することになる。給食があれば午後も学校で勉強ができたかもしれないのだが、そのチャンスが失われる。保健室登校でも毎日できるのなら保護者も給食費の負担をためらわないだろうが、どうなるか分からないのでは躊躇してしまう。不登校の生徒が学校に足を向けるチャンスのひとつを、給食が用意されていないことで奪ってしまっているかもしれないのだ。「しかし無償化になって、不登校に関係なく、在校生分の給食が毎回、用意されています。不登校の生徒がふらりとやってきても、私たちも気軽に声がかけられるようになりました」
それがきっかけで、学校に来る回数が増えた生徒も実際にいるという。それも、山中さんの学校では複数いるという。
給食費無償化で、暗い影響も明るい影響もでてきている。全国の小中学校での給食費無償化を実現する時期を、文科省も明確に示してはいない。
今年2月25日に自由民主党、公明党、日本維新の会の3党が、給食費無償化についても合意を結んでいる。合意文書は「まずは小学校を念頭に、地方の実情等を踏まえ、令和8年度(2026年度)に実現する」と、やや腰の引けたものになっている。
それほど給食費無償化は、さまざまな問題をかかえているといえる。無償化で、給食もそうだが、教育そのものの質が低下してしまわない配慮が必要になっている。
<取材・文/前屋毅>
【前屋毅】
1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。ジャーナリストの故・立花隆氏、田原総一朗氏のスタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーランスに。流通、金融、自動車などの企業取材がメインだったが、最近は教育関連の記事を書くことが多い。日本経済が立ち直るためにも、教育改革が不可欠と考えている。著書に『教師をやめる』(学事出版)、『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)などがある。

