◆体育会系だった彼がヒゲ脱毛を機に“美容男子”へ豹変

「一緒にトレッキングやシュノーケリングをしたり、アクティブなデートが多かったですね。私は仕事柄、日焼けや紫外線にはかなり気を遣っていましたが、彼は美容に関しては無頓着。ヒゲ剃り後にローションを塗るくらいでした」
転機は、知人の勧めで彼がヒゲ脱毛をしたことだった。ヒゲがなくなり、肌を褒められるようになった彼は、一気に美容に目覚める。シミ取りレーザー、美容鍼、小顔矯正、さらには男性用メイク用品まで手を出し始めた。
ファンデーション、眉ペンシル、アイライン、ナチュラルカラーのリップ。出勤前、鏡の前でメイクをするのが日課になった彼を、奈々さんは最初こそ好意的に見ていたという。
今や百貨店に男性用メイクコーナーがある時代。美意識を持つこと自体に否定的な感情はなかった。
◆美容アドバイスがエスカレートした結果…
しかしある日を境に空気が一変した。「『美容サロンに勤めてる割には、奈々の眉の描き方はイマイチだよね』って言われたんです。冗談かと思いましたが、そこからが地獄でした」
マスカラだけじゃなく、まつ毛パーマを勧められ、毛穴が目立つと指摘され、服装に合わせたリップグロスの色まで指定される。デートのたびに続く“美容ダメ出し”——。
「彼と会う前から『今日は何を言われるんだろう』って緊張するようになってしまって……それでも、少しでも気に入ってもらえたらと、メイクや服装を考えて家を出るんです。ある日、待ち合わせ場所で私を見るなり『今日は65点かな』って採点されました」
自分なりに努力をして、今日こそは穏やかな時間を過ごせるかもしれないと願った、その瞬間に突きつけられた「65点」。怒りを隠せなかった奈々さんに、彼は慌ててこう言ったという。
「『ごめん、奈々はもっと可愛くなれると思って』って。でも、そう言われた時点で、私はもう“彼女”じゃなくて“評価対象”なんですよね」

