「スマウト」が誘う”東京だけ”じゃない生き方

「スマウト」が誘う”東京だけ”じゃない生き方

20代から50代まで均等に広がるユーザー層。トレンドを牽引する3つの波

スマウトの利用者像は、この数年で変化した。「移住」と言えば、中高年のリタイア層をイメージしがちだが、コロナ禍には家族連れや現役層が増加。そして現在、利用者の年齢層は多様化している。

「20代から50代まで、ほぼ均等に2割ずつなんです」と宮本は語る。”東京だけ”じゃない生き方は、もはや特定の世代だけのものではない。特に増えているのが、次の3つのタイプだ。

一つ目は、20代〜30代のキャリアチェンジ層。都市部でビジネスパーソンとして経験を積んだ後、次のキャリアの選択肢として地域おこし協力隊を目指したり、地域企業への転職を考えたりする層だ。「いきなり最初から地域貢献したいというよりは、キャリアをジャンプさせたいという動機。移住だけでなく副業という形も増えています」

二つ目は、40代〜50代のミドル・シニア層。大企業の黒字リストラや早期退職勧奨を受けるなど、次のステップとして地域を考える人たちだ。「ご家族がいる方が多いので、いきなり移住はハードルが高い。まずは二拠点生活で週に何回か地域の企業で働き、段階的に移住を見据えるケースも増えています」

地域の企業側も意識が変わってきている。「日本の人口構成的に40代後半が平均年齢なので、20代30代を得るのは難しいと気づいてきた。だから40代、50代でもいい人がいればウェルカムという企業や自治体が増えています」

三つ目は、大学生たちだ。首都圏の大学でも地方創生の授業や学生の地域創生団体が活発化している傾向にある。「新卒で地域に飛び込んだり、ソーシャル起業したりする学生が、今ではめずらしくなくなった」

この変化を宮本はこう分析する。「世の中の変化を敏感に察知している人たちが、早々に地域に飛び込むという選択をしているんじゃないでしょうか。よくわからないけど、このままじゃ多分まずいだろうなという漠然とした不安がある。行く先として、余白があり、チャレンジの余地がある地域というフィールドが選ばれている」

地域と関わる喜び──手応え、身体性、そして人生の変化

地域で働くことの魅力について、宮本はこう語る。「結局、私たちが最後に残されたのは身体性。体を使って課題解決できるところが地域にはたくさんある。空き家も耕作放棄地もあり、そこに入って片付けや草刈りが必要。AIの時代だからこそ、体を使って入って解決する体験に価値がある」

東京と地域の違いを、宮本は「分業」と「全人格」という言葉で表現する。「東京だと『私はここが得意なので、ここだけやらせてください』が通じる。でも地域だと、『編集が得意な宮本』だけでは済まされない。全部できますか、と問われる。覚悟は問われるけど、関われる場所がたくさんある。そういう意味での『余白』が、地域には溢れている」

この「手応え」の違いは、多くの人が共感できる部分かもしれない。東京では自分のささやかなアイデアや意見は、大きな世界の中に埋もれてしまうような感覚があるが、地域では自分が努力した分だけ目に見えて動く。KPIやSNSのバズに左右されず、もっと原始的なところで「つながる」。そこに、デジタル時代の逆説的な価値がある。

その一方で、「全人格100%で地域と濃密に向き合うことにためらう人もいる。そういう場合は、都会で専門性を発揮して働く自分をストックしておくのもいいと思います」

配信元: Harumari TOKYO

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