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東京・代官山にオープンした「カフェ ディオール」 シェフのアンヌ=ソフィ・ピックが生み出す食の世界

東京・代官山にオープンした「カフェ ディオール」 シェフのアンヌ=ソフィ・ピックが生み出す食の世界

「カフェ ディオール by アンヌ=ソフィー・ピック バンブー パビリオン」は花や植物を愛したムッシュ ディオールへのオマージュが花園のように表現されている。フラワーアーティストの東信さんの作品「ブロックフラワー」が壁面に飾られ、切り絵作家の柴田あゆみさんによる紙の花が天井から降り注ぐ。そして、メニューを見るだけで、ディオールに魅了されたピックさんの独創的で魅力ある料理の数々に引き込まれていく。

カフェ・ディオール

──ピックさんの家族は代々レストランを経営していたそうですね。

曽祖母が店を開き、祖父のアンドレ・ピックは世界で最初にミシュランの3つ星を獲得し、父のジャック・ピックも3つ星の料理人。私たちは厨房の上に住んでいたので、料理は私たちの日常でした。

──幼いころはファッションデザイナーを夢見ていたとか。

私は夢見がちな少女で、オートクチュールは憧れの世界。雑誌を眺めたりして。祖父母の妹である大叔母はプロではないものの、とても裁縫が得意でした。両親がとても忙しかったため、よく面倒を見てくれました。一緒にパターン(型紙)をかいたり、縫い物をしたり。スーツを作ったりもしました。でも、絵があまり上手ではないので、プロにはなれないなと思って諦めました。

アンヌ=ソフィー・ピック
アンヌ=ソフィ・ピックさん  © LAORA QUEYRAS

──ピックさんにとってディオールはどんな存在でしょうか。

クリスチャン・ディオールは永遠のフェミニティを象徴するクリエイターです。祖父の時代の彼はコンテンポラリー(現代的)な人でした。実は祖父とムッシュ ディオールには共通のお客様がいたんです。女優のリタ・ヘイワースです。ディオールの顧客で、最初のコレクションの時にコレクションまるごと買ったという人。フランスのヴァランスにある祖父のレストランの常連客でもあり、恋人と一緒に来ていたそうです。祖父の手にふたりでキスしたという話を聞きました。ディオールの世界と私たちの料理の世界がつながり、赤い糸で結ばれているのだという感じがします。

ムッシュ ディオールはわずか10年間しか服を作りませんでしたが、新作を発表すると同時にアイコニックになっていく。彼の物語が永遠に続くのはすばらしいことです。

──ディオールの世界を食で表現するということはどういうことでしょう。

最初は私もたくさん疑問符を抱えて、どうしたらいいだろうと思い悩みました。そこで、ディオールのアーカイブを見に行ったのです。そこにはアーカイブを知り尽くした担当者がいました。案内してもらいながら作品を見たのが最初の一歩です。ボタンとかプリーツとか、興味を引かれたものがたくさんありました。

ディオールが食の分野に参入したのは最近のこと。前任者がほとんどいないと言ってもいい状況でしたので、誰かに影響されることもなく、自由に自分の世界を作ることができることができたのです。それがとてもよかった。最初の料理はボタン、次にカナージュをテーマにしました。

カフェ ディオール by アンヌ=ソフィー・ピック
「ル カナージュ」 ¥3500 © MATHILDE HILEY

ただ、ディオールからインスピレーションを得たものをそのまま料理で表現するわけではありません。再解釈が必要です。私が作り上げるフランス料理の世界だとすぐにわかり、同時にディオールの世界観を反映しているという品々を創作しました。

──具体的にはどう取り組んだのでしょう。

ムッシュ ディオールは美食家だったこともあり、彼が愛した料理のレシピをまとめた本が出版されています。本に書いてあるレシピを見てみました。すると、驚くことに祖父の時代と共通するものがありました。ムッシュ ディオールはフランス料理のソースが大好きだったので、彼と同時代を生きた祖父の料理からもインスピレーションを求めました。オートクチュールにディオールのレシピ、祖父のレシピもあって作り上げるディオールの世界。植物がコンセプトということで、例えば「フルール ド トゥルネゾル」では、ヒマワリに着想を得た生ニンジンという構成に、オレンジブロッサムを繊細に香らせたとろけるヨーグルトパールを加えています。独特の香りでディオールの世界を表現しました。

カフェ ディオール by アンヌ=ソフィー・ピック
「ラ フルール ド トルヌソル」 国産ニンジン、オレンジフラワー、ワイルドマダガスカルペッパー ¥3500 ©MATHILDE HILEY

──代官山限定の「ル トレフル」はディオールの世界によく登場する四つ葉のクローバーがモチーフとなっています。なぜクローバーを選んだのでしょう。

カフェ ディオール by アンヌ=ソフィー・ピック
「ル トレフル」 抹茶とタラゴンのババロア、ゆずクリーム、ピスタチオビスケット ¥5000
©LARA GILIBERTO

クローバーはディオールにとって必要な要素だと考えています。ムッシュ ディオールのラッキーチャームでしたから。彼は縁起を担ぐ人で、お守りなど関連する品々が大好きだったんです。だから自然にというより必然的にそうなりました。ディオールの世界に入っていくと、ムッシュがどれだけクローバーを大事にしていたかがわかります。この偶然と恵みのモチーフの中で、抹茶と玄米茶のムースに繊細なゆずクリームを組み合わせ、ほのかな苦みとさわやかさの絶妙な調和を創り出しました。ピスタチオのシュトロイゼルが上品な甘美さを添え、その味わいを一層引き立てています。

──このバンブー パビリオンはフランスと日本の文化の融合でもあります。ピックさんにとっての日本は。

カフェ ディオール by アンヌ=ソフィー・ピック
「ル カナージュ シュクレ」日本酒香るバニラ風味のアントルメ、イチゴとジンジャーのコンフィ添え ¥5000
© LARA GILIBERTO

私の料理の世界は、昔から日本の食材の影響も受けてきました。30年前、21歳で初めて日本を訪れて以来、日本が大好き。また、私にとって、味というものは力強くなければならないと考えています。食べている過程で味が変化していくという料理なのです。日本の影響を受けた味と見た目、ディオールの時代のフランス料理とソース。とても味わい深いものです。それらをカフェにコンセプトとして取り入れました。

アンヌ=ソフィー・ピック

すべては私の文化が起源になっています。ディオールの世界で仕事をしていても私自身を見失わない。私の料理人としてのアイデンティティーがそこにあります。わたしの目を通して再解釈したディオールの世界です。

interview & text: 宮智 泉(マリ・クレールデジタル編集長)

・「ディオール バンブー パビリオン」が東京・代官山にオープン。「ディオール カフェ」も併設
・銀座「カフェ ディオール by アンヌ=ソフィー・ピック ギンザ」で体験する、“香りと奥行き”の美食世界

配信元: marie claire

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