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「消費者をやめて愛用者になろう」。秋岡芳夫が教えてくれたこと。編集後記「これからの、スタンダード」

「消費者をやめて愛用者になろう」。秋岡芳夫が教えてくれたこと。編集後記「これからの、スタンダード」


今回の特集で読み込んだ秋岡芳夫さん本のコレクションと、『モノ・モノ』で購入したこけし「ロクロノガングノタメノイショー」はまだデスクに。

 スタンダードと聞くと思い浮かべるものはあるけれど、それが長く愛される理由は何なんでしょう。普遍的なデザイン、長く使い続けられる耐久性、暮らしに役立つ優れた機能……。作り手が込めた思いに共感して自身の定番としている人もいるでしょう。最新号では、センスのいい人たちが愛する定番アイテムや、それを選んだストーリーを通じて、「これからの、スタンダード」を考えました。

 工業デザイナーの秋岡芳夫を知っていますか? 戦後の日本デザインの黎明期から活躍し、自身も優れたプロダクトを多数生み出した一方で、高度経済成長期の大量生産・大量消費に疑問を投げかけ、1970年代に生活デザイン運動の活動体「グループ モノ・モノ」を創設。作る者・売る者・使う者のより良い関係を目指した人物です。著作も多数残しており、これまで僕も何冊も読んできました。というわけで、特集では「ものづくりの名手の言葉に学ぶ、スタンダードを見いだす眼」と題して、7人のクリエイターの言葉から、暮らしを豊かにするスタンダードを選び取るためのヒントを学ぶページも作りました。

 校了して間もなく、秋岡さんの思いを現在も受け継ぐ拠点、東京・中野にある『モノ・モノ』へ行ってきました。ここでは、代表作として知られる「あぐらのかける男の椅子」や、1940年代のデザイン画をもとにした創作こけしなど秋岡デザインを存分に味わえるほか、秋岡さんと縁のあった作り手が手掛けた暮らしの道具に触れることができます。身体尺度でものを見る、五感で良し悪しを判断するなど、たくさんの示唆に富んだ考え方を残した秋岡さんです。中でも僕が特にいいなと思っているのは、秋岡さんは決して消費を否定しているわけではない、というところ。だって、いいものに出合ってそれを手に入れたときの喜びってかけがえないものじゃないですか(買い物も好きな分、これまでたくさん失敗もしてきましたが…)。大切なのは、いいものを選ぶ目を養い、いかにして長く付き合うか。それを1970年代の時点で説いていた秋岡さんは、やっぱりすごいなぁと心から思います。

 「消費者をやめて愛用者になろう」。これは「グループ モノ・モノ」の結成の際に掲げられたスローガンだそう。自分にとってのスタンダードを見つけて、長く愛用していくためのヒントを、この一冊から見つけてもらえたらうれしいです。

(本誌編集部/利根正彦)

『モノ・モノ』ショールーム(東京都中野区中野2-12-5)前に掲げられたロゴも秋岡芳夫のデザイン。
手前が「あぐらのかける男の椅子」。奥は豊口克平がデザインした「トヨさんの椅子」。どちらも日本人の身体尺度に合わせた低座の椅子です。
ショールーム入り口に飾られた秋岡さんの言葉。こうした書を残す際に「亜木三」という名前を使用していたそう。
秋岡芳夫が残したデッサンから時代を超えて2015年に製品化されたこけし。僕も一つデスクに持ち帰りました。

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NEW STANDARDS / これからの、スタンダード。&Premium No. 149

これからの私たちの「もの選び」は、どのように変わっていくのでしょう。暮らしの道具や日々の装いにおいて「本当に必要なもの」を問い直すとき、まず浮かぶのが「スタンダード」という基準です。一時的な流行を追うのでなく、いつまでも着たい、使いたいと思えるもの。つくりのよさ、機能とデザインが生む美しさ、そして作り手の心が伝わるもの。しかし、センスのいい大人たちは「定番だから」という理由だけで、ものを選んでいるわけではないようです。もう一歩先に踏み込み、自らの感覚を物差しにして摑み取っているのは「これからの、スタンダード」。すでにスタンダードになっているものを深く知り、ときには失敗を重ね、時間をかけて使い続け、本当に信頼のおけるものと出合う。そういった丁寧な歩みこそが人それぞれのBetter Life をかたちづくるのだと&Premiumは思います。未来の定番を見つけ出すために必要なのは「自分を知る」こと。心地よくて誠実な「スタンダード」探しの入り口は、ここにあります。

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配信元: & Premium.jp

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