
自分が住んでいるマンションの「修繕管理」について、当事者意識をもって考えている人は決して多くないでしょう。そして、悪徳業者この“住人の関心の薄さ”を利用するため注意が必要です。1級建築士で自宅マンション管理組合の理事長を務めた建山晃氏の著書『[新装版]マンションの大規模修繕でダマされない方法』(彩図社)より、自宅マンションの修繕工事でダマされないために知っておきたい、大規模修繕「発注後の流れ」を紹介します。
元請施工会社の一括下請けに要注意
自宅マンションの修繕工事をどのような会社が請け負うのか、気にしたことはあるだろうか。
最近は修繕工事専門の会社が多数出てきたようである。修繕工事は当然入札になり、新築時のゼネコンにも声をかければ義理で参加してくれるかもしれないが、金額は全く合わないだろう。
基本的に新築物件を扱うゼネコンは、大型修繕工事まで手が回らない。金銭面も最低で3億円の予算がないと中堅ゼネコンでも人を付けることができないのである。
もしそれなりのゼネコンが工事をしているとすれば、必ず一括下請けに修繕工事専門の業者がいると思って間違いない。結局のところ、修繕工事専門の会社が担当することになる。
スーパーゼネコンでは子会社に修繕専門の会社(25年の談合調査で査察が入った会社もある)を作って直接工事を行うところもあるが、仕組みとしては同じである。
ここでの施工会社とは、大規模修繕工事を管理する会社のことである。発注後の施工について記したフローチャートを掲載した。
[図表]発注後の施工を図示したフローチャート 出典:『[新装版]マンションの大規模修繕でダマされない方法』(彩図社)
フローチャートの元請施工会社までは一般的に理解できると思うが、その下の形態には驚かれるのではないだろうか。しかし、現実としてほとんどこの形がとられている。
ゼネコンの技術屋であり、45年近く施工の現場で働く人間として断言するが、これが大規模修繕工事の施工形態だ。
元請施工会社が1次専門業者にほとんど工事を丸投げしているこの形が、両者にとっても一番おいしい。
元請施工会社にとっては1次専門業者に丸投げすることで材料や専門業者の手配や工程の段取りをせずに済み、1次専門業者にとっては材料で利益を上げ、2次専門業者を自由に選べて自分の手配で工事を進めることができるのである。
ただしこの形態は修繕工事の形であって、一般的な工事の形ではない。一括下請け工事は公共工事では禁止されており、民間でも施主に断らずに行えば建設業法違反になる場合がある。専門的になるので詳細は省くが、「違法すれすれ」と言えるだろう。
一括下請け工事の是非はどちらでもいい。真に問題なのは…
とはいえ、この形態が悪いかどうかはまた別の話で、施主からすれば要は適正価格で良い仕事をしてくれればいい。
問題なのは、元請が管理までもすべて2次業者にやらせてしまうことである。
元請施工会社の仕事は、仕様書通りの仕事をさせるための工事管理だ。
ゼネコンや建設会社というと世間的には談合問題等でなにやら怪しい感じがしたり、コンサルタントと組んで悪事を働くのではないかと不安になったりする人もいるかもしれないが、施工会社には保証義務があるので手抜き工事はできない。コンサルタント会社が施工会社をしっかり監理すれば施工会社も専門業者(下請け)をしっかり管理するし、緊張感の中で工事をすれば良い仕事ができるのである。
施工会社の見極めは難しいといえるが、金額が一番安い会社だけは選ばないほうが良い。
正当な単価と経費が含まれている会社にすべきである。方法としては、一番高い会社と低い会社を除いて中間の会社から選ぶのが一般的だ。
