2026年は効率化元年。AIリスキリングへの投資背景
—— 多貴商運の挑戦は事業の多角化にとどまりません。2026年を「効率化元年」と掲げ、テクノロジーを活用した業務改革も進めているそうですね。

東出: 業務効率化は昨年ごろから具体的に検討し始めました。以前から生成AIの進化は注目していましたが、ここ1~2年で「これは実務でも使える」と判断できるレベルまで来たと感じたことが大きいです。現在は事務所でもChatGPTなどのAIツールを少しずつ使い始めています。
この10年で運送業を取り巻く管理項目は膨大に増えています。労務管理、コンプライアンス対応…。本業に集中したくても、情報処理の負担が増え続けているのが現状です。
—— 増え続ける事務負担をAIで解決しようというわけですね。
東出: はい。例えば、プレゼン資料や見積書の作成、事故が起きた際の詳細な記録・報告など、過去に比べてボリュームが増している資料作成業務の手助けをAIにさせたいと考えています。
—— 社員に対してAIリスキリング研修を行うという大きな投資も決断されました。システムを外注して導入するのではなく「リスキリング」という形を選んだのはなぜですか。
東出: 当社にはまだ紙ベースの業務も多く残っており、外注システムの導入以前に、まず業務のデジタル化が必要な段階です。
だからこそ、「外部に頼りきるのではなく、まずは自分たちがAIを使いこなせる状態をつくることが先決だ」と考えました。まずは自分たちで業務を整理し、データ化し、どこにAIを使うべきかを見極める。その上で次の一手を判断していきたい。
そのためには、社員一人ひとりのAIリテラシーを底上げし、一定のレベルでそろえることが不可欠です。特定の担当者だけに依存するのではなく、組織全体で活用できる状態をつくるために、リスキリングという形を選びました。
まっさらな目線を歓迎。大学と連携するプログラムへの想い
—— 効率化に関連する取り組みとして、ZEN大学とフューチャーリンクネットワークが協業する社会体験プログラムにも参加されます。この取り組みについても教えてください。
東出:2026年2月後半から3月にかけて実施される「サプライチェーンDX体験プログラム」の受け入れ企業として参加します。学生さんが現場起点で物流プロセスを可視化し、業務フロー図の作成やDX提案を行うというプロジェクトです。
—— プロジェクトへの参加を決めたのはなぜでしょう。
東出: 若い世代や違う立場の人の目線で「この業務は無駄なのでは?」「こうしたらもっと効率よくできるのでは?」といった指摘をもらいたいと考えたからです。
私たちはどうしても業界の常識に縛られてしまいます。学生さんのまっさらな目線で切り込んでもらうことで、BPR(業務改革)のヒントが得られるのではないかと期待しています。

2026年2月後半〜3月に行われる、ZEN大学と協業の学生向け企業連携プログラム 多貴商運は受け入れ企業として参画する
—— 今回のプログラム参加について、社内の皆さんの反応はいかがでしょうか。
東出: 「斬新」「楽しみ」という声が多いです。日常業務だけでは得られない刺激になりますし、同じ目的に向かって学生さんと交流することは、社員にとっても成果が出ると楽しい経験になるはずです。
また、ローカルなエリアで活動する当社を広く知ってもらう、PRや採用面でもポジティブな影響があればと考えています。

