退職金とiDeCo同時に受け取ると197万円の損!?…〈退職金3,000万円〉〈iDeCo480万円〉60歳会社員の決断【税理士が“もっともお得な受け取り方”を解説】

退職金とiDeCo同時に受け取ると197万円の損!?…〈退職金3,000万円〉〈iDeCo480万円〉60歳会社員の決断【税理士が“もっともお得な受け取り方”を解説】

退職金は税制優遇が大きい一方、受け取り方次第で手取り額が大きく変わるため、知らないと損するポイントが存在します。また、iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用している場合、退職金との受け取り順序やタイミングを工夫しないと、思わぬ税負担が増えてしまう可能性もあるため注意が必要です。退職金の受け取り方のポイントと注意点について、具体例を交えてみていきましょう。税理士・公認会計士で税理士法人グランサーズ共同代表の黒瀧泰介氏が解説します。

退職金「一時金vs年金」手取りが多いのはどっち?

退職金の受け取り方は、主に以下の3パターンとなります。

■一時金(まとめて受け取る)

■年金(分割して受け取る)

■一時金と年金の併用

iDeCoも同様の受け取り方が可能です。

一般的には、一時金でドカッと受け取る方が手取りが多くなるケースがほとんどでしょう。その理由は、退職所得控除が適用され、次の3つの優遇税制が使えるためです。

1.分離課税

他の所得(給与所得など)と合算せず、退職金だけに税金を計算します。これにより税負担が軽減されます。

2.退職所得控除

下記のとおり、勤続年数に応じた控除額が適用されます。

勤続年数20年以下:40万円×勤続年数

勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

たとえば、勤続25年・退職金1,000万円の場合、800万円+70万円×5=1,150万円の控除です。

3.1/2課税

退職所得控除後の金額をさらに1/2にして課税所得を計算します(※)。

(※)計算式:(退職金-退職所得控除)×1/2

さらに、一時金は社会保険料の対象外になるため、国民健康保険料や介護保険料の負担も増えません。

一方、年金で受け取る場合のメリットは、退職金運用による上乗せでトータル受給額が増える可能性がある点です。

しかし、公的年金等控除は使えますが、退職所得控除に比べて節税効果が弱く、雑所得扱いになるため公的年金と合算されて税金がかかります。また、社会保険料(国民健康保険料・介護保険料)も高くなるリスクがあるため注意が必要です。

トータルで手取りを最大化するなら、基本的には一時金が有利でしょう。

国が制定した「10年ルール」の罠

これまで、iDeCo一時金を受け取ってから5年空けて退職金を受け取れば、どちらの税控除も利用できました。これがいわゆる「5年ルール」です。

しかし、2026年1月からこの「5年ルール」が「10年ルール」に延長されたため、iDeCoを受け取るタイミングがより重要になりました。

■iDeCoを先に受け取り、退職金を後にする場合

退職金受け取り時に、前年以前10年以内に他の退職金(iDeCoの一時金を含む)があると、退職所得控除が調整(減額)され、税負担が増えます。

■退職金を先に受け取り、iDeCoを後にする場合

このケースでは「10年ルール」が「20年ルール」になります。

iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、タイミングをずらすのが難しい場合もあるでしょう。では、この「20年ルール」に対策はないのでしょうか。

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