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酒はやめたのに終わらない…アルコール依存症の30代男性が陥った“睡眠薬依存”

酒はやめたのに終わらない…アルコール依存症の30代男性が陥った“睡眠薬依存”

◆負のループから抜け出せなくなってしまう

酒を絶った筆者は「11時出社を目標とする」編集部に業務委託として転職する。ついに、昼過ぎまで寝る社会人生活は送れなくなったのだが、それでも入社当初は11時半頃には出社していた。

ただ、徐々に仕事量が増えていき、家に持ち帰って残業するようになると、睡眠薬を飲んでいるにも関わらず、作業に集中してしまっているせいか眠気が訪れることがなくなり、眠りにつくのも3時や5時というがデフォルトになってしまう。これでは朝に起きるのは無理だ。

そうならないために、以前は帰宅後に仕事をしても、すぐに寝落ちできるように事前に断酒薬セットをノンアルコール飲料で流し込んでいたのだが、最近はもう寝落ちすることもなくなった。

そこで、10mgのデエビゴを2錠飲んだこともある。基本は1日1回5mgが適量で、10mgはよほどのときしか飲むべきではない。ただ、それを20mgも飲んでしまったのだから、いくら目覚まし時計が鳴っても、目が覚めない。おまけにそれだけ飲んでも、入眠できなくなっている。

さらに、アルコール依存症の病院は10時〜12時の午前中にしか空いていない。デエビゴは1回で処方できる量が法律で決まっているため、毎月眠い目をこすりながら近所のアルコール依存症の病院に通って薬をもらっていた。それが、今はもはや12時までに起きられれば「上出来」という生活リズムのため、ここ最近は何度も予約を寝坊で無断キャンセルしてしまっている。

結果、手元には数錠のマイスリーとデエビゴしか残っていない。3日以内に病院で診察してもらわなければ、睡眠薬はなくなってしまう。そうすると、きっと眠れなくなる。

「いよいよ、残り一錠になった。明日、病院に行けなかったらどうしよう?」

この原稿もそのような不安にかられながら、深夜に執筆している。

◆睡眠薬なしでは生きられない…

アルコール依存症からは脱却できたが、今度は睡眠薬への依存を強めている。

「そんな状況であれば、市販の睡眠改善薬に切り替えたらいいのでは?」

そう思う読者もいるだろう。しかし、一度で睡眠薬での「寝落ち」の気持ちよさを覚えてしまうと、市販薬では物足りなくなるのだ。

そもそも、睡眠改善薬は睡眠薬と異なり、風邪薬や鼻炎薬などに含まれる抗ヒスタミン剤の一種「ジフェンヒドラミン塩酸塩」が配合されており、その作用で不眠症状を「緩和」してくれているだけだ。つまり、風邪薬を飲んだときに、少し眠くなるのと同程度の作用であるため、睡眠薬とはまるで「効き」が違う。

おまけに睡眠薬もそれなりの値段がするため、安いストロング系を何缶も買っていた時代の酒代と、1カ月に処方してもらえる薬の代金がトントンである。やっぱり、釈然としない。

筆者はこの先しばらくは睡眠薬に頼りながら生きていくしかない。酒を断って数年は経つのに、一体いつになれば「なにかに依存しなければ生きていけない体質」から抜け出せるのだろうか……。

<TEXT/千駄木雄大>

―[今日もなにかに依存中]―

【千駄木雄大】
編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。出版社に勤務する傍ら、「ARBAN」や「ギター・マガジン」(リットーミュージック)などで執筆活動中。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)がある
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