◆現場検証中に「足がガクガク震えていた」
近藤さんは奥さんに連絡を取ると、横断歩道を渡ろうとしていたのは女子高生で、足に怪我をしているので救急車を呼んだのだそうです。「われわれが現場につくと救急車も到着していて、かなり大事になっていて。逃げた男性もこんな事になっていると思っていなかったようで、現場検証中に足がガクガク震えていました。われわれも警察に状況を説明し、ドライブレコーダーのデータを提供。警察官に後日聞きましたが、女子高生が押していた自転車に少し車が接触していたようで、当て逃げの容疑で捜査されるとのことでした」
非常識なドライバーを、しっかりと確保してお手柄の近藤さん。とはいえ、なんともモヤモヤする気持ちが残ったそうです。
「逃げた男性を追い詰めたときも、悪いことをした意識が希薄だったんです。たぶん、普段から無謀な運転をしているんでしょうね。今回だって、一歩間違えたら歩行者を轢き殺していた可能性があるし、運転する際は危ない乗り物に乗っているということを、しっかり意識しなければダメだと改めて考え直しました」
知らないうちに、自分も今回の無謀なドライバーのような運転をしているかもしれない。いま一度、車に乗る際は安全運転を心がける必要がありそうだ。
◆■ 数字が語る「暴走の代償」と取り締まりの現実
歩行者の安全を守るという正しい行動が、無理な追い越しや、取り返しのつかない事故の引き金になってしまう。そんな不条理がまかり通る公道ですが、法と「記録」の目は、決して悪意を見逃しません。このルールは、自転車であっても「降りて押して歩いている」場合は歩行者として適用されます。今回のエピソードでも、「女子高生が押していた自転車に少し車が接触」という描写がある通り、法的には明確に歩行者となります。
この横断歩道での歩行者妨害(道路交通法第38条違反)の反則金は、普通車で9,000円。しかし、今回のように負傷者がいるにもかかわらず逃走すれば「救護義務違反(ひき逃げ・当て逃げ)」となり、反則金では済まない重い刑事罰(10年以下の懲役または100万円以下の罰金など)と、即座の免許取り消しという、あまりに重い代償が待っています。
加害者がどれほど身勝手な主張を繰り返しても、ドライブレコーダーという「客観的な証拠」の前では、土下座も謝罪も通用しません。一瞬の苛立ちが生んだ暴走は、一瞬でその人の人生を狂わせるブーメランとなります。
「急いでいるから」「自分は悪くない」という言い訳は、警察の前では無力です。法を正しく理解し、常に冷静なハンドルさばきを心がけること。それこそが、理不尽な悪意から自分と、そして周囲の命を守り抜く、最強の防衛策なのです。
<TEXT/高橋マナブ 再構成/日刊SPA!編集部>
【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている

