◆帰宅直後に母親が見た“娘の異変”
「撮影がはじまったのかな」Aさんと母親とのメッセージのやり取りがなくなってから、数時間が経った。撮影後、Aさんは母親が待つ家に帰宅してきた。
Aさんは帰宅するとすぐに、母親がいるリビングに向かった。そして部屋に入るなり、ロケバスの車内であった事件を打ち明けてきたという。母親は驚きながらも、「えっ、あの人に?」と斉藤被告なのか尋ねると、Aさんは「うん」と答えたと回顧する。さらに母親は、Aさんにこのように聞いた。
「抵抗したんでしょ?」
これに対して、Aさんは「当たり前じゃないの」と答えたという。性被害を打ち明けてきた当時のAさんの様子について検察側に問われると、母親は声を震わせながら、一言一言ゆっくりと証言する。
「子どもが地団駄を踏んで『嫌だ嫌だ』という振る舞いをすることがあると思うんですけど、そのような感じで、やるせない気持ちをあらわしていました」
つづけて、当時のAさんの表情について「半分泣いて、悔しさ、つらさと入り混じったような顔をしていました」と振り返ると、母親は数秒沈黙した後、小声で発言した。
「『死にたい』とも……」
◆「まずうがいして」母親の悲痛な思い

「『とにかくまずうがいして』と言いました。娘の体が汚れてしまってすごく嫌だったからです」
また、Aさんは「身を清めるように」とシャワーを浴びることもあった。その後、Aさんは母親に「寝る」と伝えて自室に行くと、床に就いた。
さらに、会話の中で母親は「警察に相談しようよ」と被害申告を提案したこともあったという。これに対して、Aさんは「でも、証拠はないよ」と被害申告に消極的だったと話す。それでも母親は引き下がらず、「でもドライブレコーダーとかあるんじゃないの?(警察に)行ってみようよ」とAさんに伝えた。
結局この日、Aさんは斉藤被告からの性被害を警察に申告することはなかった。

