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子や孫への節税のつもりが“なかったこと”に…2031年から本格始動、「生前贈与加算」7年ルールの恐怖。あと5年で相続税が増える人・増えない人の線引き【税理士が解説】

子や孫への節税のつもりが“なかったこと”に…2031年から本格始動、「生前贈与加算」7年ルールの恐怖。あと5年で相続税が増える人・増えない人の線引き【税理士が解説】

相続税負担を抑えようと、「年110万円以内」の生前贈与を行っている人は多いでしょう。しかし、令和6(2024)年以降は、生前贈与を受けた財産を相続税の課税対象に加える加算期間がじわじわ伸びていることをご存じでしょうか。いくつかの具体例を交えて、生前贈与加算の「7年ルール」のしくみと注意点についてみていきましょう。

〈登場人物〉

吉田課長:A社で働く課長。3人きょうだい(吉田さん、弟、妹)の長男で、2人の子を持つ。税理士とは業務上のやり取りがある。

「生前贈与加算」に該当すると、節税効果が薄れる可能性

吉田課長「相続税を減らすには生前贈与が有効だと聞きましたが、本当ですか?」

はい、そのとおりです。「生前贈与」は、もっとも一般的な節税方法の1つです。ただし、贈与を受ける人(受贈者)が相続人等(受遺者)なのか、相続人等以外なのかによって、相続税の取り扱いが異なります。

たとえば、祖父(被相続人)が生前に、妻(祖母)・子ども・孫へそれぞれ200万円贈与した場合を考えてみましょう。この場合、通常かかる贈与税額は下記のとおりです。

・贈与税の課税対象

200万円-基礎控除110万円=90万円

・贈与税額

課税価格が200万円以下の場合、贈与税率は10%のため

90万円×10%=9万円

この場合、贈与額200万円に対する負担割合は4.5%(9万円÷200万円×100)となります。

このとき、祖父の相続財産にかかる相続税の平均税率(負担割合)が20%であれば、生前贈与を行うことで15.5%(20%-4.5%、金額にすると31万円)の節税効果が期待できます。

ただし、贈与を受ける人が「相続人等」に該当するか、あるいは孫のように「相続人等に該当しない人」かによって、最終的な相続税の負担額が変わる可能性があります。

もし、受贈者が相続人等に当たらない孫であれば、その孫は被相続人の死亡後に財産を受け継ぐ立場にはありません。そのため、前述の生前贈与の例で示した15.5%の節税効果が確定します。しかし、孫が相続人等に当たる場合節税効果が減少してしまう可能性があります。

吉田課長「相続人等に当たる孫というのはどういう場合を指しますか?」

相続人等にあたる孫とは、たとえば次のようなケースが考えられます。

1.祖父(被相続人)より先に父親が亡くなっており、父親の代わりに相続人となる孫(代襲相続人)

2.父親は健在だが、祖父が遺言で「孫に財産を取得させる」と指定している場合(受遺者としての孫)

上記に該当する場合は、相続税の計算上、父親と同じ「相続人等」として扱われ、今回のテーマである「相続開始前7年以内の贈与を相続財産に加算するルール」(相続財産への加算規定)が適用されます。

この加算規定が適用されると、生前贈与による節税効果が減少してしまう可能性があるのです。

昨年から段階的に移行中…「生前贈与加算」の“7年ルール”

吉田課長「相続財産への加算規定とはなんでしょうか?」

適用要件は、下記のとおりです。

相続開始前7年以内に贈与があった場合の相続財産への加算規定

1.適用要件(相続税法19第1項)

次の(1)~(4)の要件を満たすこと。

(1)相続人等(対象者)

相続または遺贈により財産を取得した相続人や、遺言で財産を受け取る受遺者(たとえば配偶者、子ども、相続人ではない孫など)(相続人等)についての取扱いであること。

(2)財産の贈与を受けた期間

加算対象となる生前贈与は、被相続人の相続開始日(逝去日)に応じて、以下の次の期間内に行われたものとする。

 

(3)加算対象贈与財産の金額

上記(2)の期間内に被相続人から贈与された財産のうち、

・贈与税が非課税となる部分

・後掲3.で定める特定贈与財産(相続税法19条2項)

を除いた金額が、相続税の課税対象として加算される。

(4)加算対象贈与財産の控除額の上限

加算対象贈与財産のうち、相続開始前3年以内の贈与を除く部分については、その合計額から100万円を控除した残額(マイナスの場合は0)を加算額とする。

◆加算規定の対象者

まず、この規定の対象者は、相続財産を取得した相続人等に限定されます(上記1.(1))。

吉田課長「被相続人が亡くなった日によって、贈与額を加算する期間が変わるんですね」

はい。上記1(2)は、相続開始前に受けた生前贈与の期間をどこまで相続財産に加算するかを定めた要件です。

令和5(2023)年の税制改正までは、「相続開始前3年以内」に受けた贈与財産を相続税の対象に加算するというルールでした。

しかし、生前贈与による節税行為が目に余るようになったことから、令和6(2024)年1月1日からの受贈財産について段階的に「3年以内」から「7年以内」と相続税の対象に順次移行することになりました。「7年以内」に完全移行する準備期間として、上記のような経過措置が設けられています。

吉田課長「今年の12月31日までの相続は、改正前のルールと変わらないということですか?」

そのとおりです。令和8(2026)年12月31日までは、上記1(2)①のように「相続開始前3年以内」が加算対象という「3年ルール」が適用されます。

吉田課長「令和9(2027)年1月1日から令和12(2030)年12月31日までの間に相続した場合は?」

この期間に被相続人が逝去した場合には、「令和6(2024)年1月1日から相続開始日までの間」の贈与が対象になります(上記1(2)②)。

たとえば先述の例でいうと、祖父が亡くなった日(相続開始日)が令和10(2028)年2月だった場合、加算対象期間は令和6(2024)年1月1日から数えて約4年2ヵ月です。つまり、従来の「3年以内」と比べると、加算期間が約1年2ヵ月長くなります。これは、加算対象となる贈与の日の起算日を令和6年1月1日に固定しているためです。

令和13(2031)年1月1日以後は、本則どおり「相続開始前7年以内」の贈与額を相続財産に加算するというルールが適用されます。

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