「好きでもないのに吸わないと体調が悪い」“毎日5本のタバコ”がやめられない30代男性の奇妙なポリシー

「好きでもないのに吸わないと体調が悪い」“毎日5本のタバコ”がやめられない30代男性の奇妙なポリシー

「酒……。酒を体に入れないと!」

コンビニに駆け込み、「ストロング系」と呼ばれる缶チューハイを買い、そのまま胃に流し込む。ようやく吐き気も震えも止まる。完全にアルコール依存症の状態だ。それを1日に何度も繰り返す。

いくら飲んでも酔いつぶれることができなくなった。しかし、体は確実に蝕まれていくーー。

本連載では、20代でアルコール依存症になった、ひとりの編集者の転落と回復の日々を追う。

 千駄木雄大
『ラスベガスをやっつけろ』に憧れてパイプにつけたタバコを吸っていた

◆タバコを吸わないと日常生活がままならない

アルコール、エナジードリンク(以下、エナドリ)、睡眠薬、ノンアルコールなど、一体なににどれほど依存していたのかわからない筆者だが、タバコまで吸っている。それも10年。もう、救いがない。

とはいえ、かつてストロング系缶チューハイ(以下、ストロング系)を1日10本、エナドリを1リットル、そして今はデエビゴやロラゼパム、ゾルビデムといった睡眠薬をラムネのように毎晩ポイポイ飲んでいるのと比べれば、タバコは朝に3本、夜に2本と、1日5本しか吸っていないため、そこまで大した量ではない。

かかりつけの医者も筆者が喫煙者であることはわかっているが、「まずは酒と糖質をなんとかしたい」ということからか、「今すぐやめるように」とは言ってこない。

ただ、アルコール依存症だった時代にエナドリしか飲めなかったように、どこか体質がおかしなことになり、今でもタバコを吸わなくては日常生活すら、ままならなくなっている。

そこで、今回は筆者がアルコール依存症になった結果、酒をやめられなくなり、タバコも手放せなくなったことについて振り返りたい。

◆10代のころ、早くタバコが吸いたかった


酒と同様、幼い頃から大人がタバコを一服してリラックスをしている様子を見て、ある時から筆者も「タバコを吸ってストレス発散したい」と思うようになっていた。

というのも、中学と高校をアメリカで過ごしていた筆者は、学校ではロクに英語を話せず(必死で覚える気がなかったので、授業についていけるまで3年はかかった)、家に帰っても遊び相手は家族しかいなかったため、常にストレスを溜めていた。

では、そのフラストレーションをどこにぶつければいいのか? 筆者の唯一の楽しみは日本から持ってきた書籍だった。マンガ、小説、雑誌……。当時はインターネットにも詳しくなかったため、「活字中毒」を抑えるためには日本語の書籍がもっとも役に立った。

そして、読んでいる作品の中で登場人物たちが燻らせるタバコに憧れた……。ただ、マンガではなく、大正や昭和の文学、そして筒井康隆だ。今と時代背景が違うため当然のことだが、いわゆる文学作品ではページをめくるごとに誰かしらタバコを吸っていたのだ。

そのため、いくら若者が喫煙に興味を持たせないようにしても、アニメやマンガの喫煙描写の規制はあまり意味がないと思う。高校生になって文芸に興味を持ち出すと、そこからタバコに興味を抱いてしまう可能性もある。それに筆者が読んでいたマンガの主人公でタバコを吸っていたのはブラック・ジャックくらいだ。

仮にマンガのキャラクターの影響でタバコに興味を持ったといえるのは、『笑ゥせぇるすまん』の第2話「切る」に出てきた理髪師である。この理髪師は理髪店で働いているのに、顔剃りがとにかくヘタ。そこで、喪黒福造は彼に「リラックスさせる効果のある薬用タバコ」を授けて吸わせてみたところ、落ち着いて顔剃りができるようになり、店一番の名人になるという話だ(オチは書かないが、このとき喪黒が渡したのは薬用タバコではなく、普通のタバコである)。

「タバコを吸えば今抱えているストレスから解放される……」

周りの大人や文学から影響を受け、そう信じ込んでしまった筆者はイライラすると、「タバコを吸う仕草」で心を落ち着かせていた。まるで、厨二病か『あたしンち』のしみちゃんである。


配信元: 日刊SPA!

提供元

プロフィール画像

日刊SPA!

日刊SPA!は、扶桑社から発行する週刊誌「週刊SPA!」が運営するニュースサイトです。雑誌との連動はもちろん、Webオリジナルの記事を毎日配信中です。ビジネスマンが気になる情報を網羅!エンタメ・ライフ・仕事・恋愛・お金・カーライフ…。ビジネスタイム、プライベートタイムで話したくなる話題が充実!

あなたにおすすめ