◆PTSDを発症して生活が一変
Aさんは斉藤被告から「連絡先を交換したい」と言い寄られたため、電話番号を交換してしまった。ロケ終了後も、斉藤被告から数回にわたって連絡があったと話す。これらの連絡を無視すると「怒るかもしれない」と思い、Aさんは数回にわたって返信していたと話した。つづけてAさんは、事件後の精神状態について証言。事件を受けて、Aさんの生活は一変してしまったというのだ。
「PTSD(心的外傷後ストレス症)を発症しました。日常的に(事件が)フラッシュバックしたり、関連する物や道に近づけなくなりました」
加えて仕事にも大きな支障となったと話す。
「テレビの仕事がなくなりました。いわゆる出演者のブラックリストに私が載っているとのことでした」
◆2500万円提示の示談を拒否した被害者の“揺るがぬ決断”

その示談の内容は「2,500万円」の示談金と引き換えに、①刑罰を求めないこと、②斉藤被告の芸能活動の再開を認めること、の2点だった。だが、そんな高額な示談金を目の前にしても、Aさんの意志は固かった。
「やはり初公判の態度であったり、反省していないことと罪を認めていない態度から示談は受け入れられません。自分の罪を認めてしっかり反省して、もう二度とこのようなことをしないように求めます」
◆「実刑を求めます」法廷に響いた被害者の強い意思
そして検察側から「被告人にどんな判決を求めるか」と問われると、このように答えた。「厳しい処罰を求めます。実刑を求めたいと思います」
傍聴席からはAさんが証言する声だけが聞こえたが、前半のハッキリとした口調から一変、犯行時の質問になると徐々に小声になったことが印象的だった。
Aさんの赤裸々な証言に、斉藤被告は終始表情を変えることはなかったが、今後の裁判に備えるためか、何度も手元の用紙にメモを取っていた。そして退廷する際、斉藤被告は裁判官に向かって浅く一礼すると、ドアの奥に消えていった——。
文/学生傍聴人
【学生傍聴人】
傍聴歴7年、傍聴総数1000件超。 都内某私立大の大学院に在籍中の現役大学院生。趣味は御神輿を担ぐこと。高校生の頃から裁判傍聴をはじめ、有名事件から万引き事件など幅広く傍聴している。その他、裁判記録の閲覧や行政文書の開示請求も行なっている。

