◆女子高生の“口撃”に屈して立ち去って行った
そのまま電車は動き出したが、女子高生の注意は止まらなかった。「『非常識じゃないですか? ルールを守りましょうよ』って。言われている女性は無視し続けていたんですが、女子高生を味方するように乗客たちが注意し始めて。座っていた女の方は全然立ち上がろうとしなかったんですけど、旦那さんが先に立ったんです。それで女性の方に、『もう行こう』って」
夫婦は席を立ち、二つの席が空いた。そこのひとつに年配男性が座ったが、もう一つの席は誰も座らず次の駅に着くまで空いたままだったという。たしかにそのやり取りを見ていたら、座りづらいのはわかる。結局、電車が止まると夫婦は逃げるように降りていった。
「それから二人の姿は見てないです。でもきっと同じ様なことは今でもしてると思いますね」
公共の場でのマナーには明確なルールが定められていない。女性が行った席の確保も、マナー違反ではあるのかもしれないが、ルール違反ではないだろう。いっそのこと「マナー」という曖昧さを無くしてしまった方がトラブルを減らせるかもしれない。息苦しさは増えるかもしれないが。
◆■ 数字が語る「マナー問題」
公共の場での譲り合いが、一人の身勝手な振る舞いで踏みにじられてしまう。日本民営鉄道協会が2025年10月1日から11月30日までの2か月間、WEB上で実施した「駅と電車内のマナーに関するアンケート」には、5,202名もの回答が寄せられました。
この最新調査によれば、今回のエピソードに深く関わる「荷物の持ち方・置き方」を迷惑だと感じている人は、回答者全体の20.1%にのぼります。さらに「乗車列への割り込み」についても20.0%が不快感を露わにしており、実に5人に1人がこうした強引な振る舞いに強いストレスを感じているのが現実です。
誰もが疲れを抱え、余裕をなくしがちな満員電車の中。それでも、自分のことと同じように「隣にいる誰か」の存在をほんの少し尊重する。そのささやかな想像力こそが、殺伐とした車内の空気を変え、何より自分自身の心を健やかに保つための、大切な一歩になるのかもしれません。
<TEXT/山田ぱんつ 再構成/日刊SPA!編集部>

