虚弱話題で「精神的に楽に」「少し安心しました」
虚弱体質という概念の広がりには、「自身に対してどこか『言い訳するな、甘えるな』と自虐する気持ちが拭えなかったのですが、虚弱の概念を知り、辛い日々が報われた気がしました」と心境の変化が。下記のようにも述べている。
「病名のないしんどさを気軽に打ち明けられる言葉に出会えて、肩の荷がおりました。自分を必要以上に責めることがなくなり、元気か病気か、『0か100か』の思考ではなくグラデーションの中で生きられるようになりました。
世間に理解が広まって生きやすくなりそうな点も良かったですが、自分が自分を認められたことが嬉しいです。自分と同じような存在を知れたことで励みになり、精神的に楽になりました」
2人目の当事者、いわゆる「アラウンド還暦」世代の女性・リカさん(仮名)も「同じ悩みの人が意外とたくさんいるのだと分かり、少し安心しました。もはや加齢で疲れる部分もあると思いますし、それ以外に大きな変化は感じていません」と受け止めた。
元々は物心ついてから常に不調を感じていたといい、「頭が重かったり、ダルくてやる気がわかなかったり。少し疲れるとすぐ発熱していました」。周囲との関係は「太れない体質のため、見た目だけである程度は察してもらっていました」としつつ、これまでの苦労を「『その作業やると、多分熱出すんだけどなあ』と思う時も、その理由で休む訳にはいかないので、諦めてやっていました」と明かした。
虚弱体質について「自分が怠け者なせいだと思い込んでいましたが」とした一方、次のような出来事を振り返った。
「8年前に鬱状態になったことで10キロ太り適正体重に近づいたところ、体力が増して疲れにくくなりました。休日も早くから目覚めて1日を長く感じるようになりました。そこで初めて『普通の健康な人はこんな日常で、自分は体調が常に悪かったのだ』と再認識しました」
「『虚弱』にもグラデーションがある」
生活の工夫を尋ねると、リカさんは、「著者(編注:「虚弱に生きる」内のエピソード)にもあったように体力をつける体力がありません。ダンベルなどをやっても、一回の発熱でパーになりますので、続けるのがイヤになりました」と率直に述べた。「今心がけているのは、体を冷やさないこと。湯船に長目に浸かる、温かい飲み物を飲む、くらいでしょうか。特にこれが効いた!というのはありません」ともいう。
体質を改善する難しさが伺えるが、効果の感じ方はケースバイケースのようだ。
メグミさんの場合は、自身も虚弱だったというパーソナルトレーナーのもとで筋トレを続けた結果、「姿勢が良くなり、結果的に腰痛や頭痛、疲れっぽさが少なくなった」とみている。逆に食事面での試みは「胃腸が弱く少食なので、食を管理すること自体がプレッシャーになり余計にストレスを感じました」という。
このように運動は得意でありながら、前出のような不調に悩まされているメグミさん。今回の件を通じて「『虚弱』にもグラデーションがある」と切実に訴えた。
「一見『普通』『元気そう』に見えてもどんな不調を抱えているかわからないという視点が広まってほしいな、と自戒を込めて思います。ゆくゆくは、週3~4日、1日4~5時間などの勤務形態が認められると虚弱な人もそうでない人も選択肢が広がるな、と思います」
他方、リカさんは、虚弱体質をめぐって下記のような思いを伝えている。
「このご時世の多様性に振り回されるのもどうだろうとは思いますが、障がい者とまではいえないが、健常者とも言い難い存在を多くの人に知ってもらえればと思います」
【予告】連載の第3回は、文学紹介者・頭木弘樹氏と北里大学北里研究所病院の漢方鍼灸治療センター長・星野卓之氏に話を聞き、「虚弱体質」が共感を集める背景や、どのような体質なのかを尋ねました。3月22日正午に掲載予定です。