名取さんの回答:人にはそれぞれ3つの「自分」がいます

「人には3つの自分がいる」という考え方があります。「第一の自分」は、自分が思っている“自分”です。私なら「無口な自分」で、Y.H.さんなら「人見知りで、コミュニケーションを取るのが苦手な自分」が「第一の自分」です。
「第二の自分」は、自分の言葉や行動から周囲の人が判断している“自分”です。私の場合は「私って無口なんです」と言えば、周りの人は「どの口が『無口だ』なんて言っているんですか。ムクチはムクチでも、あなたの場合は“六口”でしょ」とあきれて、笑います。
私は、誰かと一緒なら何か話さないと気まずさを感じます。黙っていれば相手に失礼だとも思います。そこで、がんばって話題を見つけ、いろいろしゃべります。そのため他人からすれば、私はとてもおしゃべりなのです。
Y.H.さんの場合は、「表面上はそれなりに人とお付き合いできて、プライベートでは、自分から声を掛ければ一緒に行動できる」とありますから、これが「第二の自分」でしょう。周りの人は、Y.H.さんが人見知りで、コミュニケーションが苦手だとは夢にも思っていないのです。

このように「第一の自分」と「第二の自分」の間にはギャップがあります。「第一の自分」がどんな自分であろうと、社会的に通用しているのは「第二の自分」の方なのです。
それに気付いて、社会で通用している「第二の自分」に、自分で思っている「第一の自分」を近付けたときに現れるのが「第三の自分」です。
私なら、「私は無口ではなく、おしゃべりなのだ」と自覚して、普段から多くのことに関心を持って、自然にしゃべることができる自分です。
Y.H.さんなら「声を掛けてもらうことは少ないけれど、私は人見知りでもなければ、コミュニケーションが苦手なわけではないのだ」と自覚したときに現われるのが「第三の自分」です。自分を卑下せずに、自分自身にOKを出して、これまでと同じように人とお付き合いをしていればいいでしょう。
コミュニケーションの苦手意識を克服する2つの方法
もし、今以上に、人見知りを克服し、コミュニケーションの苦手意識を解消したいなら、楽しんで取り組める方法があるので、2つご紹介します。
方法1:相手に全力で関心を持つ

1日に数分でいいですから、相手に対して全力で関心を持つ練習をしてみてください。
「素敵な髪型だけど、どこの美容院に行っているのだろう」「仕事は順調だろうか」「ご両親はお元気だろうか」などの他にも、趣味は?生きがいは?など、いくらでも関心を持てるでしょう。
そのような関心を持って人と接すれば、動物園や水族館に行くよりずっと面白い時間が楽しめます。
すでに関心を持って人と接しているなら、「美容院、どこへ行っているの?」「仕事は順調?」と実際に声を掛けてみるといいでしょう。関心を持っているだけでなく、それを具体的な行動として相手に向けて発信するのです。
根掘り葉掘り聞くのは失礼になるでしょうが、「愛の反対は無関心である」という名言もあります。相手は「私に関心を持ってくれている」と感じて、Y.H.さんといるのが楽しくなるはずです。
方法2:五感で感じたことを伝えてみる

もう一つは、朝、起きてから自分が見た、聞いた、嗅いだ、触ったことの一つに感想を加えて、その日最初に会う人に簡単に伝える練習です。
「雨だからビニール傘をさしてきたけど、雨音が面白くないのよ。素敵な雨音がする傘を探してみようと思ったわ」「パン屋さんの前を通ったら、焼きたてのパンの匂いがしてね。鼻の穴を大きく広げて深呼吸しちゃった。あれって、鼻の筋肉トレーニングになるかな」など、どんなことでもかまいません。
会社勤めの人が隣の席の人に対してこれを続けると、2週間ほどで「今日はどんなことを言うだろう」と楽しみにするようになります。
相手に関心が持てる人、新鮮な気持ちで毎日を過ごしている人は、一緒にいて楽しいものです。自然に声を掛けてもらえるようになるでしょう。
どうぞ、楽しんで練習してみてください。
構成=石丸繭子(ハルメクWEB)
※この記事は2022年6月の記事を再編集して掲載しています。

