
◆実家を貸し出すことになり、手を挙げたのは…
会社員の鈴木誠さん(仮名・51歳)は3年前、地方都市にある実家を相続した。両親が相次いで他界し、立派な庭付き一戸建てが空き家になったためだ。「生まれ育った家ですし、思い出も詰まっているので手放したくはありませんでした。でも、維持管理費もバカにならない。どうしようかと悩んでいました」
地元の不動産会社に相談したところ、ファミリー向け戸建て賃貸の需要は高く、予想以上の賃料が見込めることが判明した。「売るよりも貸した方がいい。状況が変われば自分が住む可能性もある」と判断した鈴木さんは、実家を賃貸に出すことを決めた。募集をかけるとすぐに反応があり、その時は早期の成約に安堵していたという。
入居を希望したのは、外国人夫婦と小学生の男の子の3人家族だった。日本語は片言だったが、不動産会社の担当者が間に入り、意思疎通に問題はなさそうに見えた。「ご主人も日本で働いていますし、きちんとした方々ですよ」という担当者の言葉を信じ、鈴木さんは契約書に判を押した。
「正直、最初は少し不安もありました。でも、家賃は保証会社を通していますし、定期的に振り込まれていましたからね。最初の半年間は順調だったんです」
しかし、契約書の中に「ペット飼育」に関する明確な取り決めがなかったことが、後に大きな禍根を残すことになる。
◆「犬を飼い始めました」の衝撃報告
入居から半年ほど経ったある日、不動産会社から「入居者が犬を3匹飼い始めた」との連絡が入った。鈴木さんは耳を疑った。1匹ならまだしも、いきなり3匹である。「契約書にペット不可の条項を入れていなかったんです。戸惑いましたが、断る根拠がないことに気付かされました。戸建てで庭も広いから、きちんと管理してくれればいいか……と、渋々承諾してしまった。それが間違いでした」
この甘い判断が、取り返しのつかない事態を招くことになった。

