50代で夫を亡くした新聞記者が始めた連載「喪の旅」。大切な人との死別の悲しみにどう向き合うのか――朝日新聞の人気連載をまとめた書籍『喪の旅 愛しい人に出会い直す』より、原点となる体験を抜粋して紹介します。
お話を聞いたのは、河合真美江(かわい・まみえ)さん

1986年に朝日新聞社入社。松江支局や大阪本社整理部、文化部、金沢総局などに勤務し、文芸やジェンダー、死別と向き合う生き方などを取材してきた。2025年6月に退社。「ベルサイユのばら」で宝塚歌劇と出会い、記者として歌劇100周年のころを担当。
50代で夫を亡くした私が始めた「喪の旅」
50代で夫を亡くし、犬も死に、ひとりになって60代を生きている。人生、何が起こるかわからないと口では言っても、こんな毎日になるとは思ってもみなかった。会社を卒業したら家族であちこちに行こうと思い描いていたのに……予定は大幅変更だ。
夫とは、コロナ禍のなかの面会制限で、おしまいの入院では3週間ほど会えなかった。最後は自宅に帰って6日目、トイレで倒れて逝ってしまった。なんで……。そんなに急いで、アホやなあ。
介護休業を終え、職場に復帰した。平気な顔をして暮らしていた。マスクの下、後悔にフタをして。でも、ふいに涙がわき出してくる。
大切な人を亡くした多くの人がそうなのでは。書いて話して読んで、痛みをともにする場があれば。そう考えて「喪の旅」という連載を新聞で始めることにした。亡き人を思う読者のみなさんと道連れに、という企画。さまざまな方にお話をうかがった。
大切な人との死別後、その悲しみを抱いてどう生きていくか。それをテーマに話を聞き、記事を書き続けた。
連載は20年末から25年春まで4年あまり、朝日新聞の朝刊とデジタル版に掲載した。本シリーズの第2回・第3回で一部ご紹介している。みなさんの心からの言葉に耳を澄ませていただけたら、とてもうれしい。

