古い、狭いをポジティブに捉え、豊かな暮らしを追求する人々を訪ねた&Premium147号(2026年3月号)「部屋を心地よく、整える」より、安達 功さん、亜桜衣さんの住まいを紹介します。




共用廊下やエントランスがなく、独立した玄関とテラスを通って家に入るスタイルの安達さんの暮らす集合住宅。賃貸物件とは思えない建築士による細部にこだわったデザインが、50㎡という数字から想像する空間のイメージを洗練されたものに引き上げている。新築の2LDKの住まいに目を留めたのは、功さんだ。
「柱と梁が一体化した十字のデザインがいいな、と。キッチンとリビング、寝室や収納スペースを明確に分けて使えるところが魅力的。インテリアはミッドセンチュリーモダンをイメージして、ヴィンテージと新しいものを交ぜて、僕と妻が好きなトーンにまとめています」
ものを購入する際、しっかり吟味するのが、功さんのマナーだ。
「まずはバーッと調べてその中にひとつ抜きんでていいと思ったものがあっても、いったん保留に。さらにもう1回リサーチして2トップぐらいに決めて、最終的に自分の家にはどちらが合うか作戦会議。一目惚れで買い物することもあるけど、慎重に選ぶことのほうが多いですね」

家に迎え入れたものをあるべき場所に収めて、整える。例えば、梁のレールに丸いフォルムの照明を取り付け、ダイニングテーブルまわりのアクセントにした。さらに、部屋のコーナーには、細身のラインが美しいフロアランプを置き、ソファサイドの景色に遊びを加えている。
「大きめなプロダクトは、形がユニークなもので印象づけています」
家にいる時間を愛する亜桜衣さんは、「3.2mの天井の高さが心地よいし、いろんな居所があることで気分が変わるのが嬉しい」と微笑む。壁面に設けられた高窓からは空や雲の流れが見え、他の部屋の窓から届く光が、空間を美しく見せていた。


安達 功、安達亜桜衣プロダクトの魅力や日常を伝える暮らし家、デザイナー
功さんは、Instagramでものの魅力や生活を発信。亜桜衣さんは〈Goodmood〉を主宰。「ご機嫌になるもの」をテーマにものづくりに励む。
instagram.com/kurashimono
photo : Takeshi Abe edit & text : Seika Yajima
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COZY ROOMS / 部屋を心地よく、整える。&Premium No. 147
部屋を「整える」と聞いて、何を想像しますか。この言葉には本来「望ましい状態にする」という意味が含まれています。もちろん「望ましい状態」は人それぞれ。整理整頓された住まいが心地よい人もいれば、たくさんの好きなものに囲まれることを好む人もいます。40㎡の狭い部屋でのふたり暮らし、10坪の一戸建て、築100年の町屋リノベーション、10年かけてDIY改装した古民家……。小さな部屋、古い家だからこそ楽しく快適に。今号は、心地よい住まいのヒントが詰まった18組の実例集に加え、光と影、香り、植物のしつらえなどを通して、豊かな暮らしを追求する人々の哲学を探ります。部屋の整え方にたったひとつの正解はありません。大切なのは、自分だけの心地よさの基準を見つけることなのです。
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