
20代半ば〜30代前半にかけて訪れる「結婚ラッシュ」。働き方や生き方が変化し「結婚は考えていない」という人も増えてきましたが、それでも周囲が次々と結婚していくと、心がざわつくものです。いまは出会い方も多様になり、マッチングアプリをきっかけに結婚するカップルも珍しくありません。そのようななかで、相手の「プロフィールの内容」にはご用心を……。29歳女性の事例をもとに、アプリ婚だからこそ徹底すべき結婚前の「マネー・デューデリジェンス(資産査定)」の重要性について解説します。
周囲の「結婚ラッシュ」に焦るなか見つけた“超優良物件”
ホナミさん(仮名/29歳)は、国立大学の文系学部を卒業後、新卒で大手メーカーに就職。20代ながら年収は550万円と順調そのものですが、ここ数年焦っていることがありました。
周囲の結婚ラッシュです。地元の友達、大学の同期、会社の同僚……男性の影などほとんど聞いたことがなかった友達も気づけば次々と結婚し、すでにママになっている子も。学生時代は成績もよく、勤務態度も真面目なホナミさんですが、恋愛面ではなかなか縁がなく、長年パートナーができずにいました。
そんななか出会ったのが、タクミさん(仮名/37歳)でした。
深夜、動画広告に引き寄せられるようにインストールしたマッチングアプリ。数人とやりとりをしたのち、一番メッセージが丁寧だったタクミさんと会うことに。ホテルのなかにあるカフェで待ち合わせをします。
清潔感があって、穏やかそうな男性。(写真よりかっこよくないけど、いい人そうだな)ホナミさんは胸を撫でおろしました。会話が進むにつれ、少し突っ込んだ話もしていきます。
「タクミさんは、どちらでお仕事してらっしゃるんですか? 営業マンって書いてありましたけど」
「……名前聞いたことあるかわからないですけど、Y社です」
「Y社!? 知らないわけないじゃないですか。へえ、すごい!」
アプリのプロフィールに「年収1,000万円」と書いてあったのも、ホナミさんがタクミさんを選んだ理由です。「会ってみて変な人だったら帰ろう」と思っていましたが、想定外の“超優良物件”との出会いに、ホナミさんは心のなかで思わずガッツポーズ。
「タクミさんは、なんでいままで結婚しなかったんですか?」
盛り上がった会話の流れで最初から気になっていた疑問をぶつけると、タクミさんは少し照れたように笑いました。
「いやあ、僕内向的で……。恥ずかしながら友達も全然いなくて。特に女性とうまく関わるのは苦手だったんです。でも、不思議とホナミさんといると安心する(笑)」
その後数回デートを重ね、2人は恋人同士に。そして半年後、タクミさんからのプロポーズを受けたホナミさんは、マイホーム購入にいたるその日まで、幸せな日々が続きました――。
本当の年収は「半分」
ホナミさんには、結婚のほかにもう1つ夢がありました。それが、「自分の家を持つこと」。実家は社宅を転々としていたため、マイホームに腰を落ち着けることに憧れがあったのです。
タクミさんは、郊外にあるマンションを提案します。一方、合理的な考えのホナミさんは「職場に近いほうがいい」と、23区内の築浅中古マンションを選びました。価格は約9,000万円です。「2人の家だから共同名義にしよう」という夫の提案でペアローンを組むことにした夫婦ですが、そこでとんでもない事実が発覚します。
「書類の提出、ありがとうございます。1つひとつご一緒に確認させていただきますね」銀行員の言葉になぜかそわそわする夫を不審に思ったホナミさんですが、銀行員は構わず続けます。
銀行員「ご主人の昨年のご年収ですが、源泉徴収票に書かれている550万円でお間違いありませんか?」
ホナミさん「……え?」
タクミさん「……」
ホナミさん「すみません、もしかしたら私のと間違えてるかもしれないです」
銀行員「? いえ。タクミさまの源泉徴収票のご確認です。こちらに550万円と書かれております」
ホナミさん「は? タクミさん、どういうこと?」
タクミさん「……」
口をつむぐばかりでなにもいわない夫にしびれを切らしたホナミさんは、「すみません、この申し込み、辞退します」といい、足早に銀行をあとにしました。家に着くなり、ホナミさんの怒りは爆発します。
「ふざけないでよ! 私を騙してなにがしたかったの!?」
タクミさんの本当の年収は550万円。勤め先は大手企業Y社の子会社で、オフィスはY社ビルの中にあり、Y社と取引が多くある部署に所属していたため、内情に詳しかったようです。なぜウソを書いたのか問い詰めると、「本当の数字を書いたらマッチングできないと思った」といいます。
「だとしても、ここまで隠し通すなんて……本当にありえない」
「ごめん。いつ言おうかと思ったんだけど、ホナミのことを考えるとなかなか言い出せなくて……」
「ごめんで許されると思っているの?」
