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年金受給を10年遅らせると「84%増額」という魅力はあるが…手取りは〈まさかの額〉に【FPが「年金の繰り下げ受給」のメリット・注意点を解説】

年金受給を10年遅らせると「84%増額」という魅力はあるが…手取りは〈まさかの額〉に【FPが「年金の繰り下げ受給」のメリット・注意点を解説】

「公的年金」は65歳から受給開始ですが、時期を繰り下げて受け取ることが可能です。恒久的な受給額の増加や最大5年分の一括受給など、魅力的なメリットがある一方、知らないと損する注意点もあります。本記事では、服部貞昭氏の著書『知れば知るほど得する年金の本』(三笠書房)から一部を抜粋・編集し、年金の「繰り下げ受給」の仕組みについて解説します。 

年金の繰り下げ受給の3つのメリット

繰り下げ受給のメリットをあげます。

①年金の受給額が増額され、一生続く

②繰り下げ年齢を最初に決めなくていい。いつでも受給開始できる

③繰り下げをやめたら、5年前までさかのぼって年金を一括でもらえる

①年金の受給額が増額され、一生続く

繰り下げ受給の一番のメリットは、年金の受給額(もらえる金額)が増額されることです。そしてその状態が一生続きます。

増額率は、1カ月繰り下げるごとに0.7%です。66歳まで1年繰り下げると8.4%増額され、75歳まで10年間繰り下げると、84%増額されます。

84%増額というのは、なかなか魅力的に映るかもしれません。ただし、年金収入が多くなると、そこから引かれる税金と社会保険料も増えますので、手取りでは、7~8割くらいの増加と見たほうがいいでしょう。

②繰り下げ年齢を最初に決めなくていい。いつでも受給開始できる

年金の繰り下げは、いつから年金をもらうと明確に決めてやる必要はありません。65歳近くになると、年金の案内が送付されてきますが、特に何も手続きをしなければ、自動的に繰り下げた状態となります。この状態を「繰り下げ待機中」と呼んだりします。そして、年金をもらいたいタイミングになったら、その時点で年金をもらう手続きをすれば大丈夫です。

たとえば、65歳時点では会社勤務で働いていて給与収入があるので、とりあえず繰り下げ、68歳になったとき、体調が悪化して会社を辞めたので、その時点から年金をもらい始めるということが可能です。1952年(昭和27年)4月2日以降生まれの人は、最長75歳まで繰り下げができます。

③繰り下げをやめたら、5年前までさかのぼって年金を一括でもらえる

繰り下げは途中でやめることができます。やめたら、最大で5年前までさかのぼって年金を一括でもらうことができます。繰り上げの場合は取り消しができませんが、繰り下げでは取り消しができるのが大きなメリットです。

たとえば、繰り下げをしていたが、68歳になったとき、大病を患って入院し大金が必要になったというときは、繰り下げをやめて、65 歳からもらい始めたことにできます。すると、65歳から68歳になるまでの年金を一括でもらうことができます。さらに、65歳未満の配偶者がいる場合は、繰り下げをしなければもらえていた3年分の加給年金も一括でもらえます。

さきほどあげたメリット「②繰り下げ年齢を最初に決めなくていい。いつでも受給開始できる」とからめていうと、68歳になって年金をもらい始める時点で、次のどちらかを選択することができます。

・68歳から増額された年金をもらう

・65歳からの通常どおりの金額の年金をもらう。過去の分は一括でもらう

繰り下げ受給の注意点

ただし、注意点が2つあります。

1つ目の注意点は、さかのぼってもらえるのは最大で5年前までであることです。年金の時効は5年ですので、5年より前の分はもらえません。たとえば、72歳になった時点で繰り下げをやめた場合、67歳からの5年分だけ一括でもらえます。65歳から67歳までの2年分は残念ながらもらえません。

2つ目の注意点は、過去の分を一括でもらうと、過去の各年の年金収入(所得)が増えることになり、原則、各年の修正申告が必要になることです。修正申告をするとともに、足りなかった税金を追加で支払いますが、延滞税も発生します。また、過去にさかのぼって医療保険・介護保険の自己負担や保険料等にも影響が生じる可能性があります。

過去分を一括でもらうより年金として毎年少しずつもらったほうが、税金と社会保険料は安いので、最初からさかのぼるつもりで繰り下げることはやめたほうがいいでしょう。

服部 貞昭

新宿はっとりFP事務所 代表

エファタ株式会社 取締役

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