◆タイ出張中の行動を事細かに聞かれて…
さらに社内調査が進むにつれ、別の問題も浮かび上がった。「上司に呼び出されて、シノダと一緒に行ったタイ出張のことを細かく聞かれたんです。逮捕されたことで、シノダの出張中の行動も調査対象になったんです。どうやら、休日にパタヤまで足を延ばしていたらしくて……。しかも、私的な夜遊びを接待費として経費計上していたほか、会社が禁止しているにもかかわらず、宿泊先ホテルに現地女性を連れ込んでいたことも発覚したそうで……。僕まで“一緒にいたんじゃないか”と疑われて、出張中の私的な領収書まで提出して説明する羽目になりましたよ……」
さらに、シノダさんに関しては警察から会社側にも確認が入っていたようで、関係者への聞き取りが行われたという。太田さんもその一人として、出張時の行動やシノダさんとの関係についてヒアリングを受けた。
「警察の人から直接話を聞かれました。といっても取り調べみたいな重い雰囲気ではなくて、“事実関係の確認”という感じでしたね。出張中に一緒に行動していたかとか、シノダの様子に変わったところはなかったかとか、細かく聞かれました。
正直、シノダの行動には軽蔑する気持ちもありましたけど、それ以上に、ただでさえ忙しい時期だったのに、あいつのせいでさらに仕事が増えて勘弁してくれよ……というのが本音でしたね」
一見すれば、明るく人当たりのいい“普通の社員”だったシノダさん。しかしその裏では、違法行為とコンプライアンス違反を重ねていた。リモートワークの普及で社員の行動が見えにくくなった今、同様のリスクはどの企業にも潜んでいると言えるだろう。
「ああいうのって特別な人間がやることだと思ってました。でも、同じ職場で普通に働いていた人間がああなったのを見ると……どこにでもあり得る話なんだなって思いますね」
“令和の不良社員”は、決して遠い存在ではないのかもしれない。
<取材・文/結城>

