◆「ただのプレイヤー」で終わらない。伝える人、支える人としての現在地
——現在はどのようなお仕事をされているんですか?いまはプロゲーマーというより、ゲーム業界のアンバサダー的な役割がメインになっています。たとえば、セガの『バーチャファイター』ではIPアンバサダーとしてイベント運営に関わり、コミュニティのプレイヤー同士が円滑に交流できるようサポートしたり、アドバイスをしたりしています。オフラインイベントの運営・解説・分析なども行っています。
——プレイヤーとしての実績があるからこその役割ですね。
僕がやりたいのは「勝者だけが光を浴びる世界」じゃなくて、「関わった人みんなが何かを得られる場」をつくること。自分が若い頃に、そんなサポートがあったらよかったなと思ったので。
僕は鉄拳のUKチャンピオンにはなったけど、日本ではボロ負けだったし、情報も人脈もなかった。すごく孤独でした。だからこそ、いまは新しくゲームを始める人や、これからプロを目指したい人に向けて、少しでも道を照らす側になりたいんです。
ゲームって勝ち負けだけじゃなくて、その過程で何を学ぶかが大事。僕はよく「勝ったときより、負けたときのほうが収穫がある」と言っています。悔しさや失敗って、実は「宝の山」なんです。
——今後の展望について教えてください。
仕事は今がすごく楽しいので、このまま続けていきたいです。また日本に行った際は、蒸しパンをたくさん買うつもりです(笑)。
僕にとって、蒸しパンを買うことは「自分の人生を、自分の感覚で選ぶ」ということ。初めて蒸しパンを買った日も、みんながメロンパンやドーナツを買うなかで、僕はあえて、誰も手に取っていなかった、蒸しパンを選びました。
それは、まわりに合わせるのではなく、自分が「これだ」と思ったものを手に取るという、小さな意思表示なんですよ。
みなさんも、まわりと同じメロンパンじゃなくて、時には蒸しパンを選んでみてください。自分の「好き」を大事にするだけで、世界の見え方が変わるかもしれません。人生って、案外ふわっとしてていいものですよ。
<取材・文(和訳)/綾部まと>
【綾部まと】
ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother

