不運としか言いようがない今回のエピソード。一体何があったのでしょうか。

◆出張で利用した新幹線で感じた“嫌な予感”
須藤さん(仮名・32歳)は、自動車部品製造会社に勤めるサラリーマンです。月の半分は地方の工場を巡り、生産現場の環境や人事状況を細かくチェックするのが仕事だといいます。「正直、オンラインでチェックすることもできるのですが、やはり面と向かって相手の表情を感じながら接することは非常に重要なんですよ」
そう語る須藤さんは、この日も新幹線移動で、今回は新大阪で下車するとのこと。いつもなら、トイレに立ちやすい通路側の席を選ぶのですが、この日に限っては満席に近く、空いていたのは3列席の窓側だけでした。
「とりあえず席についたのですが、いつもと違う座席になんだかテンションが下がりました」
さらに須藤さんの気分を曇らせたのが、隣に座った若い夫婦の存在です。年齢は20代後半から30代前半ほど。派手でもなく、ごく普通の格好をした二人でしたが、なぜかピリピリした空気をまとっていたといいます。
「会話はないのに、沈黙が重たいというか……なんとなく嫌な予感がしたんですよね」
その直感は、残念ながら的中します。
◆いきなり始まった夫婦喧嘩
須藤さんにとっての新幹線移動は、いわば“移動オフィス”で隣の席が気になりながらも、いつものようにテーブルを出し、駅の売店で買ってきたホットコーヒーを飲みながらノートパソコンを開いて作業を始めたといいます。そのとき、隣から小さな音が聞こえました。「チッ」という、明らかに苛立ちを含んだ舌打ちです。続いて、女性の甲高い声が車内に響きました。
「何よ!!」
突然の声に、周囲の乗客が一斉に視線を向けます。男性はそれに気づいたのか、慌てて小声で「ごめん」と謝ったそうです。しかし、それが火に油を注ぎました。
「もう嫌! もう無理だから!!」
女性の声はさらに大きくなり、車内の空気が一気に凍りつきました。須藤さんは思わず肩をすくめたといいます。
「いやぁ、マジかよと思いましたよ。座席位置にもストレスを感じているのに、おまけに隣が喧嘩をおっ始めるなんて……」
須藤さんは、なるべく視線を落とし、仕事に集中しようとしました。しかし、事態はそのまま収束するほど甘くはありませんでした。

