体だけでなく、心も整えるのが「精進ごはん」
教室に通って精進料理を学びながら、家族の食卓にアレンジしては生かす日々が続いていました。が、2008年、リーマンショックの影響で私生活に転機が訪れます。
「あの時期は世の中が一気に大変な状況になってしまって。でも、精進料理を続けていたおかげでしょうか。心もしなやかに強くなっていたのかもしれません。どうしよう、とクヨクヨするより、今できることをしよう!という思いの方が強かったですね」と五月さん。「やれることをやるしかない!やってみよう!ってね」と曉美さんが笑います。
そうして14年前からは、姉妹二人での精進料理教室をスタート。主婦だった経験を生かして、家族みんなが満足して食べやすい、手軽に作れて満足感もある普段着みたいな精進料理=「精進ごはん」を提案していきます。これがだんだんと評判を呼び、生徒が増え続け、縁あって料理本を出版。地元のテレビ番組に出演するなど、どんどん活動の幅が広がっていきました。
「精進料理を学び、食べ続けて身に付いたのは、“健康で穏やかに生きるために本当に必要なものと量を考える習慣”なのかもしれません。肉や魚を食べないことは殺生をしないためでもありますが、同時に肉や魚を食べなくても自分が心地よく健康でいられると納得できたことでもありましたから。身の丈を知ったということですね」と曉美さん。
「精進料理を続けていない自分を知らないので単純に比較はできませんが、70代になった今でも姉妹そろって大病せず体調を崩すこともなく、好奇心旺盛にアグレッシブに暮らせているのは事実です。それに私自身、一番良かったことは、以前と比べて、人を疑ったり怒りを感じたり、そういうネガティブな感情が減ったこと。生きるのがラクに楽しくなりました」と五月さんが穏やかな笑みを浮かべます。
毎日のことだから、楽しく、ラクに、心身にいいものを

そんなioriさんが教える精進料理は、肩肘張らない手軽さが魅力。年代も地元も違うたくさんの生徒さんと、気軽におしゃべりしながら学ぶスタイルが人気です。
とはいえ、これだけは守るべし!という精進料理の3つのルールがあります。そこで次回は、ioriの「心と体を整える精進ごはん」の基本ルールとおすすめ食材についてご紹介します。
※この記事は2022年3月の記事を再編集して掲載しています。
撮影=中西裕人(人物・料理)

