いちき串木野市は、鹿児島県の西側にあり、海と山に囲まれた自然豊かな街です。 新鮮なまぐろをはじめ、海の幸を楽しむことができ、農作物も豊かで「食のまち」として注目されています。 温かい気候と地元の人々の暖かさが心地よく、穏やかな生活を求める方にぴったりの場所です。 また、3つのJR駅と、2つの高速インターチェンジがあり、都市部へのアクセスも良好。 歴史と文化が息づくこのまちは、新しい生活を始めるのにも優しい環境が整っています。 そんな、いちき串木野市に移住した方にお話を伺っています。

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いちきくしきのい〜くらしナビ |
時代の小さな実験から始まった、戸田さんの酒造りとミード(蜂蜜酒)の道。 酒蔵での修行を経て鹿児島へ移住し、再現性よりも自然の揺らぎを大切にする酒造りを志して、いちき串木野市を新たな拠点に選びました。 後編では、移住後の醸造所の立ち上げや蔵づくりの裏側、そして地域の人たちとの関わりについて伺います。
前編はこちらから。

いちき串木野市での暮らしと、蔵づくり
いちき串木野市に移住後、最初は白石酒造で働き、今まで経験のなかった農業から醸造まで担う蔵のあり方や、ミードづくりのための準備を進めました。
そして2025年5月、製造免許を取得し「株式会社nobana」を設立。
拠点となる醸造所の蔵づくりに取り掛かります。 その過程で戸田さんは、地域のさまざまな人の力に支えられることになります。
戸田さんが蔵を建てた場所は、みかん畑の下の段にある、かつて公民館が建っていたところ。 柱や瓦が積み上げられ、草木が伸び放題になっている土地でした。

絡まるツタを切りながら仕分けを行い、瓦や腐った柱などは自ら積み込んで処分場へ運び出しました。
さらに、通路用として敷かれていたセメントをはがして処分場へ運ぶという大仕事も。セメントの撤去は知り合いづてでユンボ作業を依頼し、一緒に作業を行ったそうです。 さらに、3本の木の伐採は、集落の方の紹介で森林組合に依頼しました。

ようやく土地の整備が整い、いよいよ着工です。 ところが、地面の下から想定以上に硬い岩盤が現れるという想定外の事態に。 段々畑の一番下にある土地だったため、上から流れてくる雨水を排水する側溝を設ける必要があり、蔵の基礎を打つためにもある程度掘り進めなければなりませんでした。
それでも、地元の業者の方々に人をつないでもらい、状況に応じて柔軟に対応してもらいながら、工事を進めていきました。 戸田さんは「本当にいろいろな方に助けてもらって、頭が上がらないですね」と振り返ります。
内装も、施工中に大工さんの提案で、変更になったことも。 「ここ、水がかかるから外壁材使ったほうがいいんじゃない?」 「そっちのほうが長持ちするよ」 職人さん達の経験が、蔵を“よりよい形”へと導いてくれました。

そして内装も外観も木の温もりが感じられる、凛とした佇まいの蔵が完成しました。 蔵を説明してくださる戸田さんの表情からも、確かな満足感が伝わってきました。


「お互いさま」でつながる関係
ある日の飲み会で、蔵を建ててくれた工務店の方に偶然会いました。 嬉しくて「本当にありがたいです」とお礼を伝えると、こんな言葉が返ってきたそうです。
「元気にやってくれたらそれでいい。それが街にとっても良いことになればいいから」 それを受けて戸田さんは、 「工務店さんにとっても誇りに思ってもらえるような蔵にできるよう頑張ります」 と伝えたといいます。
また最近では、近所の方がふらっと立ち寄り、草刈りをしてくれたことも。 「“大変そうだな、やっとくよ”って。あまりにも自然で、びっくりしました」
気がつけば、自然と誰かが手を貸してくれる。
「いただいたものを自分なりの形で、相手や、また別の誰かへ渡していく。 そんな関係が、この街には生まれている気がしています」
そうしたやり取りの積み重ねが、少しずつ人と人との絆を深めていくのかもしれません。


