私たちの生活に欠かせない電気。でも、遠く離れた発電所でつくられた電気がどうやって自分の住むまちまで届いているか、常に意識している人は少ないのではないでしょうか。電気を各地へ運ぶのは送電線です。南相馬市にある株式会社メイワは、40年以上にわたりこの大切な送電線建設に関わる事業を営んできました。2025年に完成した新社屋を訪ね、詳しくお話を伺いました。
平均年齢30代、若手が活躍する現場
「誰でも一度は、田んぼの中や山の斜面に建っている送電鉄塔を見たことがあると思います。私たちの主な仕事は、あのような鉄塔を建設して送電線を張ることです。でも、あれだけ大きな構造物なのに、皆さん普段はほとんど意識していませんよね。目に入っても見えていないというか」
微笑みながらそう話してくれたのは、採用広報も担当している企画開発課長の星けいさんです。

2009年入社の星けいさん
メイワは1985年の創業以来、東北電力グループを主要取引先として、主に福島県内で架空送電設備の工事を行っています。インフラを支える大事な仕事でありながら、一般の人にはあまり身近でない送電という事業。少しでもわかりやすく伝えようと、メイワではSNSを使った情報発信にも力を入れているといいます。

メイワのInstagramでは社員紹介などさまざまな切り口で送電という仕事をわかりやすく紹介
「工事の流れは、まず送電設備を作るための測量と設計から始まります。それから鉄塔の建設用地を確保し、資機材の運搬路を作る仮設工事。そのあとに基礎工事をして鉄塔を組み立て、電線を張ります。この全工程を一貫して自社施工できるのが、私たちの強みですね。近年は新設だけでなく、古くなった施設の建て替えも増えています」
送電設備は、もちろん建てて終わりではありません。定期点検や補修はもちろん、送電線の支障となる樹木伐採などのメンテナンス、電線や鉄塔に異常がないか目視するパトロールも大切な業務です。実は星さんは兼務で工務部にも所属しており、このパトロール業務も担当しているそうです。
「送電線の近くで誰かがクレーンを使う工事をしていたら、送電線に接近したりしないよう安全の注意喚起をするのも私たちの役目です」
現在44名の従業員のうち、星さんを含め現場に出る作業員は40名。毎年新卒を採用するほか、中途採用(経験者・未経験者)も通年で実施しています。そのなかには県外出身者やUターン者も少なくないとか。

「仕事が安定しているということは、当社が選ばれるひとつの理由かもしれません。この仕事は、同じ建設業でも住宅や道路などと違ってかなり特殊な分野。競合が少ないことは送電設備業の特徴だと思います。ただ、業界全体では高齢化が進んでいます。屋外の作業環境には厳しさもあり、一般に若い人が定着しにくい面があるのです。そのなかにあって、当社はコンスタントに新卒を採用できていますし、中途も20~30代がメイン。社員の平均年齢は36~37歳と比較的若いことも、私たちの強みと言えるでしょう」
チームワークを通して責任感が強くなる
そんな若手の一人、工務部の坂本耀太(さかもと ようた)さんにも話を聞いてみました。坂本さんは2023年入社の21歳。いわき市出身で高校卒業後にメイワに就職しました。現在は送電工事の電工として、鉄塔を組み立てたり電線を張ったりする作業に従事しています。

鉄塔で作業中の坂本さん(株式会社メイワ提供)
「メイワに入社したのは、父と同じ送電の仕事がしたいと思ったからです。最初の頃は、工具の名前や作業手順など覚えることが多く、とても大変でした。3年経ってもまだ全部は覚えきれていませんけれど」
そんな坂本さんは、もちろん鉄塔に登るのも初めてだったはず。メイワの研修施設にある訓練用鉄塔は高さ15メートルだそうですが、大丈夫だったでしょうか。
「訓練のときはさほど怖いと思いませんでしたが、現場にはもっと高いものがたくさんあります。100メートルの鉄塔で作業したときはさすがに少し緊張しました」
そうした常に危険と隣り合わせの現場だからこそ、安全管理のための手順やチームワークはとても重要だといいます。どんな作業も一人ではなく必ずチームで取り組むからです。坂本さんは入社してからの自身の変化として、体力がついたことのほかに「責任感が強くなったこと」を挙げていました。
「一人がミスをしたらその影響は大きいですから。最悪の場合は死亡災害にもつながりかねません。この仕事は人の生活を支える大切な仕事です。それだけでもやりがいを感じますが、いちばんうれしいのはやっぱり、完成した鉄塔の姿を見るときですね。これに自分が関わったんだと思うと、誇らしく感じます」

坂本さんは社員寮住まい。寮には食堂もあるが自炊派だそう
メイワにこうした若手が定着する理由は何でしょうか。再び星さんに伺います。
「常に新しいものにチャレンジしようという雰囲気があることが、理由のひとつかもしれません。従来のやり方に固執せず、社員から出た新しいアイデアはすぐやってみようという文化があります。そうしたアイデアから書類関係のペーパーレス化も進んでいますし、より動きやすいユニフォームへの変更も実現しました。
さらに、作業負担の軽減にも社員の声が活かされています。たとえば、送電設備の現場は山の中も多く、荷物は担いで登るのですが、これをドローンで搬送できないか。あるいは草刈りの作業軽減のため、ラジコン型や乗用型の草刈り機を使えないか。これらも社員の提案で導入が進んでいます」
ちなみにワークライフバランス面では、有給休暇の取得率は70パーセント。現場の都合で土日に作業をした場合は確実に振替休日を取得でき、平日に休むことを躊躇する雰囲気はまったくないそう。また、年代的に子育て中の社員も多く、男性も含めて毎年2~3名は育休を取得しているとのことでした。

