
◆一般的な家庭で育つも、姉とは深い溝が
――幼少期から書籍が身の回りにある家庭環境だったとか。たまき:そうなんです。父は上場企業勤務の会社員で、母はパートというごく一般的な家庭で、家には図鑑や純文学のたぐいが多くありました。小さい頃、美術館にもよく連れて行ってもらっていて、よく可愛がってもらったと思います。
――お母様との関係が良好な反面、お姉様とは反りが合わないそうですね。
たまき:どちらが一般的かといえば、姉のほうでしょうね。姉がジャニーズや韓流アイドルに熱を上げているとき、私はアングラな本を好んで読んでいました。姉はそんな私が不可解だったようで、しばしば「なんか怖いもの見てる……」とやや蔑んでいるようなところがありました。また、部屋に無断で入って本棚から書籍を抜いていく彼女の癖も許せなくて、自室に鍵を取り付けたこともあります。そんなことがあって、ここ10年はまったく口を利いていません。姉は最近結婚したらしいのですが、それも“伝書鳩”をやってくれる母から聞いたことです。
――自身が好きな世界をバカにされたことで、お姉様との溝が深まった。
たまき:大きなきっかけです。わかり合えないんだなとは、結構前から思っていました。けれども、おそらく母は姉のように“普通”の女性に育ってほしかったんでしょうね。
◆刺青に気づいた母は泣き崩れ…
――どのようなところからそれを感じますか。たまき:24歳のとき、念願だったBARの開業の話が進んでいました。個人事業主として金融公庫からお金を借りる審査があるのですが、それに落ちてしまったんです。これまで人生において自分で何かを成し遂げた経験がなく、BAR開業に力を入れていただけに、ショックは相当なものでした。私は自死を図り、結果的に助かりました。そのあと、泣きながら母に電話をかけたんです。異変に気づいた母が実家から車で駆けつけてくれたのですが、そこでデコルテまわりに刺青があるのがバレてしまって……。「なんで入れちゃったの」と泣いていましたね。でも私は「これは自分の美学として入れたのであって、お母さんの身体じゃないから」と伝えました。母は一生懸命理解してくれようとしましたが、「古い人間だからアップデートできてなくてごめんね」と言っていました。きっと姉のように普通に働いて、普通に結婚するほうが安心させてあげられるのかなと……。

