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落合博満が「オレはできない」と認めた新庄剛志。日本ハムを“10年ぶり日本一”へ導く采配の妙

落合博満が「オレはできない」と認めた新庄剛志。日本ハムを“10年ぶり日本一”へ導く采配の妙

常識を壊し、チームを再定義する。新庄剛志は、野村克也の知、バレンタインの柔軟性、ヒルマンの対話を融合させ、“考える野球”を“魅せる野球”へと昇華させた。

データ分析で守備と走塁を整え、磨かれた感性で打順を動かす。勝負どころでは奇策を厭わず、固定観念を打ち破る采配で選手の可能性を引き出した。若手には舞台を与え、ベテランにも競争を課す。勝つことより、挑み続けることを選んだ3年間が、球団の空気を変えた。

派手な演出の裏には、理論と観察の積み重ねがある。ハイライトの一手は衝動ではなく、準備と対話の延長線上にある。その「理論で磨かれた感性」の新庄流マネジメントを読み解く。

※本記事は『マネジメント術で読むプロ野球監督論』(光文社)より適宜抜粋したものです。

新庄剛志
スタンドのファンへ手を振る日本ハム・新庄剛志監督 ©産経新聞

◆大胆さと緻密さの融合で導く采配哲学

24年の飛躍を受けて契約延長となり、優勝を目指した25年。開幕から好調を維持し、球団2位タイ記録となる83勝を積み上げた。

対戦相手や状況に応じて柔軟にオーダーを組み替える方針は引き続き健在で、落合博満から「打順も固定されていないんだ。これは監督の考え方一つ。オレにそういう野球をやれるかって言ったら、オレはとてもじゃないけどできない。そこまでの発想がない。だから新庄監督はすごいんだろうと思う。4年でここまでのチームに仕上げてくるだけでも、これはすごいことだと思う」と評価されるほどだった。

4月には試合当日の練習内容で先発出場選手を決めるという異例の采配を試み、ベンチ前に「スタメン、練習内容で決まります!」と掲示して選手の競争心に火をつけている。

「状態の良い選手を使うのは当たり前」と語り、その日の調子や相手投手とのマッチアップを最優先にオーダーを組む姿勢を一貫している。「6番・投手 山﨑福也」という前代未聞のオーダーを組み、山﨑に先制タイムリーを放たせた試合もあった。

ただし、極端なオーダーが常に機能するわけではなく、モイネロ対策打線を敷いた試合では無得点に終わるなど、結果が伴わないこともあった。また、野村を開幕4番に据えて怪我で離脱するまで一定の成功を収めるなど、明確な役割の付与による選手育成も続けている。

◆進化を遂げた独自の投手運用

投手運用はさらなる進化を遂げ、リーグ随一の安定感を誇った。シーズン当初より先発投手を8〜9人で回す拡大型ローテーションを採用。登板後すぐ登録を抹消し十分に休養させる「投げ抹消」を駆使し、通常より長い登板間隔を確保した結果、前半戦だけでチーム完投数19と12球団トップの数字に。先発に無理をさせず長いイニングを任せる運用が際立った。

新庄は開幕前に投手コーチ陣へ「先発メンバーを8人で回してほしい」と要望を伝えており、前半戦は計画通りにできたと語った。伊藤、加藤、山﨑福、金村、北山、達、古林睿煬、細野晴希といった多彩な顔ぶれが先発機会を得て、全員が群を抜く安定感を見せた。

特に達は開幕から無傷の7連勝、うち2試合完投でプロ野球記録を更新する快投を見せ、伊藤大海も前年に引き続き安定感抜群で、沢村賞を獲得。先発陣に関しては、近年で最高峰の陣営だっただろう。

リリーフ陣は、人選が目まぐるしく変化した。田中が交流戦前後に調子を落とすと無理に固定せず二軍調整を挟み、代役として若手の柳川大晟を抜擢。さらに8月に柳川を休ませたことでシーズン終盤とCSでは齋藤友貴哉・田中のダブルストッパー体制に。加えて前年のセットアッパー河野が不調の中で生田目や玉井大翔、上原健太、山本、池田、金村が機能し、中継ぎ全体の負担分散にも成功した。

シーズン途中には宮西がNPB史上4人目の通算900試合登板を達成するなど、経験豊富な投手も健在だった。新庄は投手についても打者と同様、固定メンバーより調子の良い選手を次々起用する方針を貫き、誰かの調子が落ちれば別の投手をすぐ補充して結果を出すサイクルを維持した。これが前年に続く優勝争いの原動力となった。

また、高卒新人の柴田獅子を後半戦の開幕投手に指名するなど、恒例の「大抜擢」も見られた。


配信元: 日刊SPA!

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