ポルトガルと日本とのつながりは、500年ほど前に遡る。その“出会い”をかなえたのが海。ポルトガル館では、日本との絆の深さを伝えつつ、海洋の重要性に気づかされる展示が楽しめる。
シルバーに輝くパビリオン
まず、ポルトガル館はその外観に足を止める人が多い。何やら揺れるシルバーのラインが目をひくからだ。近づいていくと、ラインはつり下げられたロープであることがわかる。その数、およそ1万本だ。

この建築を手がけたのは、隈研吾氏。海洋の動きのダイナミズムを表すために、波のように揺れるスタイルになっている。風で揺れ、太陽の光によって輝き、ゲストは建物が自然と対話する美しさを楽しむことができる。時間帯によって風の強さが変わるので、見るタイミングによって異なる様子を表す。大屋根リングから見た姿も評判を呼んでいる。このデザインは、ゲストが海に飛びこんで発見の旅へと出発する意味を持っている。

最終的には、このロープは日本各地への寄贈が予定されており、両国の友好的な関係を表す再利用を目にする機会が巡ってくるはずだ。環境への配慮という観点でいえば、パビリオンにはリサイクルされた漁網やサステナブルな素材が使用することにもこだわった。

内装も海をイメージしたものに。頭上は波を、床は海底を表現している。アーティストによる海を表現した作品も展示されている。
日本語となった言語の多さに驚く

パビリオンの中では、日本との交流の歴史も知ることができる。
ご存じのように、ポルトガルはヨーロッパで初めて日本に上陸した国。ポルトガルの航海士が日本列島の南に漂着した1543年が始まりだ。種子島に西洋の文明をもたらし、とくに長崎地方には大きな影響を与えた。以来、両国の関係は何世紀にもわたって発展し、文化、貿易、外交によい影響を与えあってきた。
館内で最初に迎えてくれるのは、動く南蛮屏風(びょうぶ)。両国のつながりの変遷を映像美が伝える。

次に表れるのが、ポルトガル語から発生した外来語の文字が流れる映像。普段何げなく使用している言葉の中に、ポルトガル語をルーツにするものがなんと多いことか。よく知られているのは、「カステラ」「天ぷら」「パン」。他にも、「ボタン」「アルコール」「かるた」など、実に250種類ほどにおよぶ。先にあげた「屏風」もポルトガル語からきているそうだ。
