男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:5歳年上の美女と交際して3ヶ月、LINEでフラレた28歳男。原因は?
デートをした果林から、連絡が一切来なくなった。
― Takao:果林ちゃん、前に話していた西麻布の鮨、いつ行く?
そう連絡をしても、何も返信がない。
しかも既読スルーどころか、未読スルーだ。
これは失礼だと思い、もう一度LINEを送ろうかとも迷った。たださすがに、これだと大人気ない。
だから違う言い方で聞いてみることにした。
― Takao:何か、前回気に触るようなことしたかな?
ただもちろん、これに対しても返信がない。前回相当良い感じで盛り上がり、「次は西麻布の鮨で」なんて話しをしていた。
それなのに、どうして果林は、突然未読スルーになったのだろうか。
果林と出会ったのは、知人の紹介だった。よく行く西麻布にある隠れ家的なバーで、僕の友人でもある美香と一緒に飲みにきていた果林。
「タカオっち、久しぶり〜」
「おぉ。美香。久しぶりじゃん。元気だった?」
「元気だよ。タカオっち、1人?せっかくだから、一緒に飲む?」
そう言って友人の美香に話しかけられ、なんとなく3人で飲む流れになった。
「タカオっち、シャンパン飲もうよ」
「なんで俺の奢り前提なんだよ」
「いいでしょ、別に」
美香は元々西麻布界隈でよく飲んでいた女友達で、彼女に会うと大概、奢ることになる。
ただ、別にこれに対して不満はないので、シャンパンをボトルでオーダーし3人で乾杯をする。
「果林ちゃんは、美香の何友達なの?」
果林は、一見大人しそうに見えたので、派手な美香と一緒にいるのが少し不思議だった。
「私は共通の知人を介して知り合いました」
30歳だという果林は、実年齢よりもっと若く見えた。そんなことを話していると、美香が横から良いパスを投げてきてくれた。
「果林ちゃんはね、今ヘルスケア関連のベンチャー企業で営業をしているんだけど、すごく優秀なんだよ。タカオっち、そっち系も詳しかったよね?」
僕は元々外資系のコンサル会社に勤めていて、今は独立して自分で色々やっている。
「すごいですね」
「いやいや、全然何も。もう半分くらい引退しているようなものだし」
「え?失礼ですが、孝雄さんって何歳なんですか?」
「僕は今44だよ」
「お若く見えますね」
「本当に?嬉しい。よく言われるんだよね」
そんな話しをしていると、もうボトルが空になっている。
「どうする?もう1本飲む?」
「いや、でももう既に1本空いてるので…」
「僕はどうせ飲むから、こちらのことは気にせず。ただ、無理はしないでね」
「じゃあせっかくなので。ありがとうございます」
そんな感じで、なんとも港区らしい夜になってしまったが。果林から連絡先を聞いて来たのでLINEを交換する流れになった。
この翌日、果林から、とても丁寧なお礼のLINEが入っていた。
― 果林:昨日はありがとうございました!ご馳走さまでした。孝雄さんのおかげで、とっても楽しくて、素敵な時間になりました。また、ご一緒できますと幸いです。
このLINEを見て、僕は思わず微笑む。そして、果林を食事に誘うことにした。
― Takao:良ければ、次は仕事などの話も含めて、ご飯へ行きませんか?お連れしたいお店があるので。
するとすぐに「ありがとうございます!」と返事が来たので、僕たちはデートをすることになった。
果林との初デート。ここは大人の余裕を見せるべく、神谷町にあるフレンチレストランにした。
「こんばんは。今日は宜しくお願い致します」
しかし店のウェイティングエリアで会うなり、そう挨拶をしてきた果林。思わず、面食らってしまった。
「そんな堅苦しい挨拶やめようよ、笑。今日は楽しく食事をしよう」
こうして、お互いまずはグラスでシャンパンを頼み、乾杯する。
「果林ちゃんは、普段どういう所で食事をしているの?というか、お家どこだったっけ。お店の場所とか決める時に、先に聞けば良かったよね、ごめん」
「いえいえ、とんでもないです。私は今、三宿の方に住んでいます」
「そうなんだ。ひとり暮らし?」
「はい。そうです。このお店は、よく来られるんですか?」
「うん、たまに。本当はもう1軒、果林ちゃんを連れて行きたい店があって。西麻布にある鮨屋さんなんだけど。今度一緒に行こうよ」
そう言っている間に前菜を食べ終わると、果林のグラスが空になったので、僕はすぐにメニューを差し出した。
「好きな物、頼んでね」
そもそもこの初デート。僕なりに、結構気を遣っていた。
僕よりも年下だし、下手なプレッシャーを与えたなくない。それに、果林の好きそうなお店を選んだつもりだし、飲み物だって食べ物だって、かなり良いランクの物を頼んでいる。
だから、果林にとってマイナスなことは何もないと思う。
「孝雄さんは、何にされますか?」
「どうしよう…この後、何にする?もし飲めるなら、ワインのボトルとかでもいいけど」
「いいんですか?」
「もちろん。じゃあ適当に選んじゃうね」
こうして、二人の間にワインボトルが置かれる。再度乾杯をし、僕は質問を続ける。
「美香とは、結構長い付き合いなの?」
「いえ、そんなことないですよ。孝雄さんは、どこで知り合ったんですか?」
「僕は友達の友達で…」
そんなことを話していると、無常にも時間が過ぎていく。別に今日、美香の話なんてどうでもいい。貴重な時間を無駄にしたくなくて、僕は話題を変えた。
「ちなみに果林ちゃん、今お付き合いしている人とかいるの?」
「今はいないですよ〜」
「そうなんだ。ちなみに、僕はオンオフしっかり分けられる人だから。果林ちゃんとはプライベートな方で、もっと仲良くなりたいなと思ってるよ」
そう言った瞬間、果林は手が滑ったのか、グラスを倒してしまったのだ。
「ごめんなさい!おケガないですか?本当にごめんなさい」
果林は、慌てふためいたが、幸いなことに中身もほぼ入っていなかったので、グラスがテーブルの上で倒れただけで何も問題がない。
「こちらは大丈夫だし、まったく問題ないよ。むしろ果林ちゃんは大丈夫?洋服とか、濡れてない?」
「私は大丈夫です。すみません…」
「本当に気にしないで」
あまりにも落ち込んでいるので、僕は果林の頭をポンポンとする。誰にでもそういうことはあるし、僕はまったく気にしていない。
「グラス、新しい物をもらおうか」
「ありがとうございます」
こうして、ここでも僕は結構優しく対応できたと思う。その後も何事もなく楽しく会話が進み、僕たちの楽しいデートはあっという間にお会計の時間になってしまった。
果林がお手洗いへ行ってる隙に会計を済ませる…というスマートさも忘れていない。
「ご馳走さまでした。すみません、ご馳走になってしまい。お支払いしようと思っていたのですが」
店の外へ出て、また恐縮している果林に対し、僕は笑顔で答える。
「そんなのいいよ。本当に楽しかったね。まだ帰したくないから…この前行ったバーへ行かない?」
そう言いながら果林の手を繋いだものの、翌朝早いらしい。
「すみません、明日朝早いので今日は帰りますね」
「残念…。じゃあタクシーで送ろうか?」
「いえ、このまま今日は電車で帰るので大丈夫です」
「気をつけて帰ってね。またすぐに」
「はい、ご馳走さまでした」
こうして果林と別れた僕は、飲み足りずにいつものバーへ行って帰宅した。
そしてこのデート以降、果林から連絡は何も返ってこなくなった。
▶前回:5歳年上の美女と交際して3ヶ月、LINEでフラレた28歳男。原因は?
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:3月29日 日曜更新予定
男が一度のデートで未読スルーされた理由は?

