
◆「予想外が飛び込んでこなくなる」いまも電車移動を続けるワケ
——北野武監督の『ソナチネ』で映画デビューし、本当に多くの作品に出られてきました。成功後も、メジャー作品だけでなく、短編やインディーズ系の映画にも積極的に出演されていますが、ポリシーがあるのでしょうか。津田寛治(以下、津田):いろんな仕事やってる人はかっこいいなとは思います。「売れたらこの仕事はやらないんじゃないか」とか選ぶようになったら、自分自身がつまらないなと。普段の生活にしてもね、たとえば「付き人がいて車移動でしょう?」とか思われたりすることもあるんですけど、普通に電車を使っているんですよ。車にしたこともあったんですけど、それだと家から目的地に着くだけなんで、予想外のものが飛び込んでこなくなるんです。それってつまらないなって。

津田:そうなんですよ。でも、脚本を読んだとき「やっぱり自分にすごく近い」というか、あんまり人に言ってないことも書かれてたりしていて驚きました。それに何よりすごく面白い脚本で。相当真剣にこの作品のことを考えていただいていたんだなというのが伝わってきて嬉しかったですし、監督の中で一番本当にやりたかったのっていうのがサスペンスなんだろうなというのも感じました。
◆監督の演出に「あ、俺は今『津田寛治』なんだ」と納得
——人間ドラマだと想像していたので意外でした。津田:虚構と現実の境が分からなくなってしまった俳優が起こしていくサスペンスです。僕は知らなかったんですけど、WOWOWさんで同じ感じのタイトルのドラマシリーズがあるんですね。『だれだれの撮休』みたいな。
——ご存じなかったんですね。
津田:僕は知らなくて。ただ一般的には、そうしたドラマのタイトルも浮かぶし、一見それのパロディかと思いきや、全然違うサスペンスになっていくと。そうした計算も、監督の中にはあったのかなと思います。
——「自分を演じる」という体験は純粋にいかがでしたか?
津田:撮影中に、「いや、俺はその音量でここは喋んないけど」と監督に言ったことがあったんです。「俺は……津田は喋んないですよ」みたいに言ったら、「いやいや、津田さんじゃなくて津田なんです。(この映画の登場人物である)津田はその音量で喋るんです」って。「あ、俺は今『津田寛治』なんだ」ということはありました(笑)。

