◆「映画を観るほど暇じゃない」極貧生活よりも辛かったのは

津田:貧乏な時って、東京という街から“拒絶されている感”が半端ないんです。「俺ここにいちゃいけねえのかな」と感じてしまう。一間の部屋に毛布と、(福井県から)上京してきた時に持ってきたズタ袋があるだけ。冬は寒くて寝れなくて、2日に一度しか寝られないんです。お金かかるから電気は契約もしてなくて、夜はコンビニで買ってきたろうそくを立てて、本を読んでました。
——一時期事務所に所属するも、そうした物理的な貧乏状態よりも辛かった出来事があったのをきっかけに、当時の事務所を辞めることになったとのことで。
津田:当時、マネージャーさんに「最近、なんの映画を観ましたか?」と聞いたら、「こっちは映画を観てるほど暇じゃないんだ」と言われてしまって。その一言で「ここにいちゃダメだ」と。その時の崖っぷち感は半端なかったです。「とにかく辞めて、インプットだ!」と思いました。どこにでもいるような顔して中肉中背で何の特技もない、それでも役者になりたい。「そんなの無理だよ」となるかもしれないけど、「じゃあ俺は、なんでこんなに役者になりたいと思ってるんだ?」と。改めて考えると、「やっぱりスクリーンの向こうに行きたい」「映画の仕事に関わりたい」んだと思ったんです。

津田:はい。5時間とか、平気でガードレールに座って待ってました。それでも監督が帰ってこない時は、ポストにプロフィールだけ入れて帰ったりしてましたね。
◆「大杉チルドレン」としての想い
――そうした下積み時代を経て、キャリアを重ねてこられました。様々な方との出会いがあったと思いますが、大杉漣さんの存在も非常に大きかったそうですね。津田:めっちゃでかいですね。大杉さんは、こちらからお願いしたらそれに応えてくれるとかじゃなくて、大杉さんのほうから、電話をしてきてくれるんです。「どうしてんの? 最近。俺さ、SABUっていうのと、あと黒沢清って、すげえいい監督見つけてさ、津田くん紹介するよ。今度舞台挨拶やるから、そこにおいでよ」と呼んでくれたりするんです。俺から頼む以前に、大杉さんのほうからチャンスをくれる。
——それは津田さんに目をかけていたからでは。
津田:それが、そういったことをいろんな人にやってるんです。これからの俳優に。だから「大杉チルドレン」がいっぱいいるんですよ。

