
世界は今、これまでの経済ルールが崩壊する「グレートリセット」の足音に怯えています。急激なインフレ、地政学リスク、そしてかつての日本でも起きた預金封鎖の影……。私たちが日常の物価高に一喜一憂している裏で、資産を築き上げた者たちは、すでに「お金という概念」が通用しなくなる日に向けた準備を終えています。本記事では、資産37億円を築いた不動産投資家・小林大祐氏の著書『2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略』(KADOKAWA)より、近い将来世界を襲う「未曾有の危機」への備えについて解説していきます。
続くインフレ、国家間緊張…忍び寄る世界の「リセット」とは
世界は今、静かに、「グレートリセット」へと向かっている。グレートリセットとは、金融・経済・社会構造など、これまでの前提が一度すべて崩れ去り、新しいルールで再構築される大転換のことだ。これは単なる経済不況や景気後退ではない。通貨の価値、国の信用、社会の仕組みそのものが根底から変わる、歴史的な節目である。
今、あまりにも長く続いたデフレ経済が突然終焉し、急激な物価上昇で生活が圧迫されたことで、世の中が一変してしまったような印象を持つ人も少なくないだろう。インフレはひとたび暴れ出すと、誰の手にも負えない恐ろしい存在だ。
かつての日本でも、戦後の混乱時に猛烈なインフレに見舞われ、預金封鎖を伴う新円切替(※)の実施によってそれまで流通していたカネは無価値になった。過酷な労働と引き換えに得た賃金をコツコツ貯めた蓄えや、親から受け継いだ大切な資産の多くが紙くずになる、まさに“インフレ地獄”である。
※ 第二次世界大戦直後のインフレ進行を阻止するために、金融緊急措置令および日本銀行券預入令を公布し、5円以上の日本銀行券を強制的に金融機関に預け入れさせ、既存の預金とともに封鎖のうえ、生活費や事業費などに限って新銀行券による払出しを認めるという非常措置旧ソ連でも体制崩壊前後にハイパーインフレに見舞われたことがあり、また、2008年のジンバブエでは年間インフレ率が5000億%に達し、中央銀行は100兆ジンバブエドル札の発行を余儀なくされた。札束を持って店に行ってもトイレットペーパーさえ買えない事態は、いつの世であろうと起こり得るのだ。
記憶に新しいところでは、2008年のリーマンショックが、金融システムの連鎖崩壊する恐怖を私たちに突きつけ、2020年のパンデミックは世界中の国境を封鎖し、人々の行動様式を根底から変えた。
そして今は世界的なインフレに加えてアメリカの関税政策による混乱やウクライナ・ガザ・米中関係などの地政学リスクの高まり、異常気象、資源の争奪戦といった事態が同時並行で進行し、まるでグレートリセットへの「最後の引き金」を待っているかのような様相を呈している。
おそらく次のグレートリセットは、これまでの危機をかけ合わせたような規模で起こり、逃げ場がない混乱が生じるに違いない。グローバルで加速する物価高がひとたび制御を失い暴走すれば、世界を奈落へ突き落とす“インフレ地獄”の幕が切って落とされる。かつての常識やルールは意味を失い、生き残るための新たなゲームが始まるだろう。
未曾有の危機に晒されるのは「準備不足の人」
こうした変化をいち早く察知し、行動しているのが世界の富裕層である。彼らはこうしたリスクから目を背けるようなことはしない。
北海道の広大な農地を買い、災害や食料危機に備えて自給自足の拠点を築く者。相続や税制、治安リスクを見越し、シンガポールやドバイなどに居住権を確保する者。国や通貨という枠に縛られない「移動できる資産」と「移動できる自分」を整える者――いずれも、資産と命を守るために水面下で準備を進めているのだ。
私自身も、こうした富裕層の一人だ。といっても、代々続く資産家の家に生まれたわけではなく、20代の「カネなしコネなし知識なし人脈なし」の状態からラジコン販売や不動産リフォームの副業を始め、37億円の資産を築いた「成り上がり者」である。
現在は不動産経営と、不動産を中心とした投資と経営のコンサルティングを生業にしており、「不動産アニキ」の名で運営しているYouTubeチャンネルでは、不動産投資や資産を築くためのアドバイスを発信している。
これまでさまざまな富裕層の人たちと親しくさせてもらい、その動きを間近に見てきて痛感するのは、変化への備えは資産を持ってからでは遅いということだ。危機は「貧しい者」からではなく、「何も備えていない者」から襲う。それが中間層だろうが貧困層だろうが、エリート会社員であろうが関係ない。富める者ほど環境変化に敏感になるため早く動き、そうでない者から順に脱落していくのだ。
ただ、グレートリセットは、チャンスでもある。それまでの価値観が覆されるということは、貧富の差だって覆る可能性もあるからだ。ここで重要なのは、その恩恵にあずかれるのは正しく備え、行動した者に限られるということだ。指をくわえて見ているだけでは、転落するのみなのである。
今、世界中で貧富の差が拡大し深刻な二極化が起こっているが、次の時代は、「備えた者」と「備えなかった者」の差が、取り返しのつかないほどに広がる世の中になるだろう。
グレートリセットのカウントダウンは、もう始まっている。変化に対応できない者は転落するリスクが高まる一方で、私のように一気に成り上がるチャンスもまた、大きく開けている。
小林 大祐
不動産投資家
