◆選びたいのは将来の安定
先述のMさんとは全くかかわりがないコミュニティに属している東大教育学部のKさん(女性・20代)も、この分析を肯定します。「私の周りでも商社やコンサルは人気です。
ただ、別に本気でそれらの会社に行きたいわけではなく、『やりたいことが決まっていないなら、とりあえず稼ぎたい!』ってことのよう。
そういった軸の決まっていない人は、軒並みお給料が高くて、大手で、規模が大きい業界を手当たり次第に受けているようで、やはり将来的に安定を取れそうな選択肢を選びたいのかな、と見ています」
選択肢が広がるようなキャリアパスを形成したくなるのは、当たり前。
なぜなら、社会に出たことがない大学生には、自分が社会に出てから活躍する姿を想定するなんて、ほとんど不可能だからです。
とはいえ、選択肢を最大化していく動きは、あくまで保険がかかるような動き方であって、いつかは選択の時が来る。
そして、その時、肥大化した選択肢の中から、唯一の答えを選び取るのは、やはり自分の責務において行わなくてはいけません。
無心で選択肢を増やし続けられることは一種の才能ですが、同時に「選ぶ際に心が惑わされないのだろうか」といらぬ心配すら浮かんでくる。
増やしたはいいが選べない……なんてことのないよう、せめて選択肢と同時並行で、自分の軸も形作ってほしいものです。
<取材・文/布施川天馬>
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)

