◆とんでもない悪事をやらかしていた
部長は冷静に「外で話そう」と言い、橘さんを連れ出すことに。一触即発の様子だったため、武藤さんと同僚は後を追うことにした。「案の定、橘は外に出るなり、部長の胸ぐらを掴み始めたんです。それに部長も激昂して、『お前が無理やり契約させた顧客たちから、損害賠償の裁判を起こされている。会社にどれだけの損害が出てると思ってるんだ!』と怒鳴っていました」
それでも橘さんは「それ以上の成果を出してるだろ!」と食い下がった。
「ですが、部長が次に放った言葉で、橘は沈黙することになりました。『それだけじゃない。お前が今年入った新卒の女性社員に、無理やり酒を飲ませて何をしたかもわかってるんだぞ。親御さんが弁護士を立てて会社に来た。本来なら懲戒解雇もんだ。それを彼女の意向もあって、『異動』という形で収めてやったんだ!』と詰め寄ったんです」
流石の橘さんも動揺を隠せない様子だった。
「どうするのかと思って見ていましたが、橘の口から出たのは、『それは……向こうだって楽しんでいたはずで……』という救いようのないものでした。その言葉を聞いた部長の、心底蔑むような目が忘れられません」
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その後、橘さんは一度もカスタマーサポート部門のデスクに座ることなく、会社を去っていったという。
<TEXT/和泉太郎>
【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め

