「夫源病(ふげんびょう)」を提唱した医師の石蔵文信さんによる、しんどくない夫婦の関係性を模索する連載です。前回に続き「男性の更年期障害」がテーマ。治療方法とうまく対処する方法をお伝えします。※初出2021年
男性の更年期障害の治療方法

男性の更年期障害も基本的には女性と同じ、漢方やホルモン補充による治療が有効です。ただ女性と全く違うことがあります。
それはいろいろな男性更年期の症状に悩まされても、男性がなかなか医療機関を受診しないことです。男性の更年期障害の症状としては、めまい・耳鳴り・頭痛・動悸や食欲不振などの体調不良に加え、不眠やうつ状態が挙げられます。
前回もお話ししたように、男性更年期にはストレスが大きく関わっていますので、本来なら心療内科や精神科を受診した方がよいでしょう。
しかし担当の先生には失礼ですけども、まだ一般の方が心療内科や精神科を受診するのにはまだハードルが高いように思います。
一部の泌尿器科の医師は男性更年期外来を開設し、主にホルモンを測定して、基準値よりも低い場合はホルモン補充療法をしています。
私自身は男性ホルモンの補充療法の効果はあまり大きくないとは思っていますが、 いろいろなデーターから推測すると数か月の間は有効かもしれません。
長期的に男性ホルモン補充療法を続けていると、血栓や前立腺がんなどのリスクが高まることが懸念されますので、ほとんどの泌尿器科では短期間の男性ホルモン補充療法をすすめているようです。
男性ホルモン補充療法で症状が改善すればよいのですが、あまり芳しくない場合はやはり精神科や心療内科を受診した方がよいと思います。現実的には男性更年期外来を開設している医師がかなり少ないので、受診できる方はかなり限られていると思います。
男性は、なかなか更年期の受診に来ない

最初にも述べましたが男性と女性の大きな違いは、症状が出てから女性はすぐに受診されることが多いのですが、男性の場合はかなり深刻化するまで受診されないことです。
私たちの外来にも妻から「夫の調子が悪いので診察をしてほしい」との連絡がよく入りますが、夫には全く受診する気持ちはありません。そういう時には「私が受診を説得しますので、夫に電話をつないでほしい」とお願いします。
8割くらいの夫はしぶしぶ私の電話に出てくれます。丁寧に説明するとほとんどの夫が何とか受診する気になってくれますが、2割くらいの夫は電話に出てくれることすら難しいのです。体調が悪くなった患者さん自ら医療機関を受診されることが通常ですので、無理矢理引っ張ってくるわけにも参りません。
今までの経験からすると、男性で一番難しいのは受診を説得することだと思います。男性のみなさまもこのコラムに書いてあるような症状があればなるべく早めに受診されることをおすすめいたします。
冒頭に触れたように、更年期にはストレスが大きく関わっています。多くの男性は、仕事をしているので、会社の過重労働や人間関係で疲れ果てています。逆に女性の場合は姑や夫との関係や、子どもの問題がストレスになっていることが多いようです。
家族関係のストレスに対する解決方法は、おいおい紹介していきます。
男性の場合は仕事のストレスをどのように軽くするかを考える必要があります。そのためには、職場環境を整えてもらう必要があります。
このときも男性の場合は、メンツやプライドが邪魔をして難渋する場合があります。さまざまなストレスを軽くするには環境を調整する以外に自分の考え方を修正する必要があります。どうも男性はこのような修正が苦手で、女性よりも時間がかかってしまいます。

